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時が過ぎるのってどうしてこんなにも早いんだろうか。永遠にも感じていたあの旅を今でも思い出す。でも少し自分の中で補正されてしまっているんだろうと思うとやるせなくて。 「旅か…」 また旅に出たいと、何度か思った。小さな旅はした。けれど結局、ジムへ戻った。 私はジムリーダーとして頑張らねばならないという使命感と共に、それに執着することで、余計なことを考えなくてすむ。そう、逃げていたのかもしれない。
先日、あの頃のアイツのように生意気で、でも全然違う少年がジム戦を挑んできた。 万全を機して、ギリギリのいい勝負をしたはずなのに、私はまるで完封負けをしたような感覚を味わった。 「カスミさんって、熱いバトルをする方だってきいてたけど、なんだか冷た水みたいなバトルで、びっくりしました。でも水ポケモンのハナダジムらしいと思いましたよ。」 バッジをもらい嬉しそうにしながら、バトルの感想をいう生意気な少年。その時私はただ「ありがとう」と答えたが、少年が去った殺風景なジムでポツリと、涙を零した。 (変わってしまった?) (変わるのは当然よ。私だって日々成長してるの) (ならどうして泣いている?) (…怖いから)
時間は否応なくすぎる。私は変わる。アイツも変わる。周りも変わる。当然のように。
ねぇ、この気持ちも変わってしまうのかな
. 熱が覚めないように覚めるように
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