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初めて会った時のこと、覚えてるか。自分の姓を言うのを渋って、シリウスとだけ君は答えた。星の名前なんてつける家系なんて、あのブラック家しか知らないし、綺麗な黒髪に男も見惚れるような容貌の君は、噂にきく純血のブラック家の噂にきくご子息に間違いがなかった。
ブラック家といえば僕と同じく純血といえど代々グリフィンドールの魔法使いの僕の家では、スリザリンの代表的家系で、例えどこかで血が繋がってようと、敵のような存在だ。なのに君は何かを覚悟したような顔で、だけど不安そうに、列車の椅子に丁寧な物腰で腰をかけているのに、わざとだらしなく見せるよう思い切り足を組んでいた。残念ながらとても格好良い。そんな姿を見つけ、僕の第六感は、彼とは仲良くなれると告げた。

「ここ、空いているかい?」

驚いたように顔を見上げ、大きな黒い目をした君は、不慣れな、曖昧な返事をした。きっと同い年くらいの友達があまりいなかったのだろう。

「座らせてもらうよ。他はもう一杯でね。君も新入生だろう?僕もなんだ。よろしく頼むよ。」

無愛想な彼の表情を動かしたくて、僕は持ち前の話術で話をしてゆく。学校のはなし、噂、お菓子、クディッチ。とくにクディッチの話では彼は目を輝かせた。大きな黒い目に光が差し込んでキラキラと光る。もっとそんな姿が見たくなった。

「自分の箒あるかい?なんならついたら一緒に飛ぼうじゃないか」
「ぁあ、楽しそうだな…でも」

声が段々細くなり、目に見えて険しい顔つきになる君は存分わかりやすい。なんとなく、その顔になる理由わかるよ。

「僕の家は代々グリフィンドールでね、君もそうなってくれると、学生生活満喫できるのは間違いなしなんだけど」
「グリフィンドールか…いいな。俺はきっと組み分け帽子に、恐らくスリザリンになることを勧められるだろうな…」
「ははは!僕も狡賢いって言われてるからスリザリンの可能性もあるかもしれないな。そんなのお断りだけど」
「ポッター家でそれはないだろ」
「…わからないよ?」

君は僕と同じよう賢く聡いのだろう。そして僕は君と共に過ごす学生生活しかもう想像ができないんだ。だからたとえ常識的にありえないとしても、僕のカンがこう言っているんだよ。君はこちら側の人間なんだ。

「ここだけの話、組み分け帽子に話しかけるんだ。"スリザリンは嫌だ。グリフィンドールが良い"とね。存外組み分け帽子は話せるやつだと父さんから聞いてるんだ」
「その話、本当か?」
「あぁ、君だけじゃないのさ、スリザリンになりたくない奴は。」

黒い瞳の光が爛々と輝く。あぁ、君のその瞳、なんだか凄くゾクゾクとする。

「君の瞳は僕なんかより凄く真っ直ぐだ。絶対グリフィンドールになれる」




swear black is white.
手段は選ばない:白を黒と言う





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その後「もう最悪よ」という声と共に派手な赤毛の少女と鬱陶しい長い黒髪の少年がコンパートメントを覗いた。
「申し訳ないんだけど、あいてるかしら?前の方に乗ってたんだけど、嫌味な先輩たちに追い出されたの。」
「あぁ構わないよ!」









この出会いが
全ての始まり



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