.


ジェームズ、成長したお前の息子に会ったよ。
驚いたよ、全くお前にそっくりなんだからな、瞳以外。








亡き父のかつての大親友で名付け親のシリウス・ブラックはよく自分と父を重ねて見るのがわかる。それだけ似ているのだろうか。ならば嬉しいかもしれない。でも彼は僕の中に父を見ているわけで、僕を見てくれていない。それは凄く寂しい。父には悪いが死んだ姿ばかり追うシリウスは滑稽だと思うんだ。それらの不満をルーピン先生にぶつけると、彼は笑う。「ああ君は全然違うよ」と僕をたしなめて黒い犬の弁護をしてやるんだから先生も大概だよ。
「君のことを彼に重ねて見る人は沢山いるだろう」
本当に最後までそんなオチなんだから。本当に滑稽ですよ。僕を見てくれるのは僕の世代だけということかな。







.
亡き親友の息子が亡き親友にそっくりならばより酷くなる。罪を着せられた黒い犬は消え失せた勇敢なる雄鹿を追い死んだ。結局彼の人生において最大のものがそれだとしたら、やはり滑稽なのだろう。そして亡き親友の息子の英雄はとても可哀想だといえる。だって彼は両親に振り回され、運命に振り回され続け、自身を過大なるものにしなければならないのだから。本来の自分を見せられずに。

歴史は繰り返す。だとしたらそんなことがまた起こり得るのだろうか。いや、自分はそんなことしないぞと思っても、やっぱり幾つになったって彼らと過ごした青く若かったあの日々に返ることをいつだって願って、僕も彼らを追いかけるようにいなくなったんだ。形は違っても僕と同じような人はいくらでもいるだろう。青春とはそういうものだ。繰り返されるのも致し方ないだろう。



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -