藤内→富松


 学校へ来た時、富松の周りにやけに人が集まっていた気がする。思わず何もないように他人のふりをしてそこを過ぎ去った。富松がこっちの方を見た気がして、もっと早く歩いた。そんな自分にあとから気付いて、幾度目かの溜め息をついた。

自分が富松のことをやけに意識してしまうようになってからよくこんなことをしてしまう。そう、まるで以前数馬が貸してくれた漫画の恋する少女のように・・・だ。自分は男だし富松も男だ。何かの間違いに違いないだろ?そういい聞かせているのに咄嗟にする自分の行動は紛れもなくソレのようで・・・頭が痛い。
 富松作兵衛は、隣のクラスで用具委員会でがんばってて、左門や次屋の問題児…というか迷子たちと仲がよくてまるで保護者のようで、俺とは分級授業が大抵同じで、いつの間にかよく話すようになった、それだけだ。

(ただそれだけ・・・)

そう思うとなんだか世界が真っ暗だった。こんな風になってしまっては、一限国語の授業をちゃんときけないじゃないか。富松の馬鹿。











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認めたくない藤内



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