富松→藤内

※現パロ捏造
※藤内が凄く良いとこの子設定


 藤内は俺と違ってわりといいとこのお坊ちゃんってやつだ。それはわかっていた。
「ここが家?」
「あまり綺麗じゃないが・・・」
いやいやいや十分綺麗です!良いとこの家の子なんだろうってのは見た目とか振る舞いでわかっていた、わかっていたけど…まさかここまでとは。藤内の家は完全和式の邸宅で、門構えからまず違う。
「す、凄いな・・・」
「ああ作兵衛にはまだ教えてなかったっけ。母上が日本舞踊をしてて、父上がお茶の家元でさ…えと、あんまり気にしなくていいからな?」
心配気に、俺より少し背の低い藤内が上目遣いをしてくるわけで、俺は緊張と心臓の音でぶっ飛びそうだ。と、とりあえず私服でこなくてよかったと心から思った。俺も藤内も制服だ。もし庶民丸出しの安物のパーカーなんて着てたら…なんて考えるだけで辛い。

 綺麗な長い廊下を二人歩く、途中お抱えの使用人らしい女性たちにも会って俺の緊張はMAX。縁側から見える日本庭園はここが街だと疑う程の美しさ、池まであるなんて…ホント金持ちなんだろう。藤内が俺と同じ公立の中学へ通っているのが不思議でならない、ここから近くに有名私立の中高一貫校とかもあるのに。
「こっちが俺の部屋なんだ。」
藤内の部屋は和洋折衷のたたみの場所とフローリングの場所がどちらもあるとてもお洒落な空間だった。俺の弟も居座る狭い狭い我が部屋を思うとなかなかへこむ。まるで異空間だ。

 本来の目的の勉強を教える仕事にやっと入れて俺は少しだが緊張がほぐれることができた。藤内が数学が苦手で良かった。あの浦風藤内の自宅でお勉強だなんてイベントにありつけた俺はなかなかのラッキーボーイじゃなかろうか。
「作兵衛、作兵衛?」
「え、あ、なんだっ?!」
「また思考が旅に出ていたのか。あのさ、ここなんだけど」
顔近い近い・・・!!藤内の長い睫とほんのりといい香りのする髪に一人で内心焦りながらも頑張る俺、多分コレ家に帰ったら速攻爆睡できる自信があります。

「今日はありがとう作兵衛」
「いや、たいしたことしてねえよ」
「作兵衛って勉強教えるの下手そうだと思ってたけど、案外分かり易かったよ。また教えてもらってもいいか?」
ズサリとちょっと傷付く発言をされるのにはもう慣れた、それより俺は藤内と勉強会できるかもという期待にやっぱり湧いて、今までよりも勉強に励もうと思った。(居眠り厳禁!だな)


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