▼現パロ美大浪人鉢屋と医大生竹谷。


 薄汚れたコンクリートの階段に腰掛けて、いまにも雨が降りそうな外界を横目に煙草をふかした。動かない建物の中、雀が電柱で毛繕いしている。携帯電話を意味もなくとりだし、「ひま」なんて呟きを打ってみる。イヤホンからシャッフルでながれてる音楽に杞憂して眠気を思い出す。
「なにしてんの」
暇という呟きにリプライが送られてきた。竹谷のやつだ。あいつ、大学の授業中なのに。そっちがなにしてるんだ。


高校を卒業して受験して、今現在浪人している俺は毎日飽きもせず白い石の塊を変わらず描いている。今は時間に余裕ができてしまって暇つぶし中だ。美術の予備校なんて腐ったもので、俺みたいに一浪目の奴なんか珍しくむしろ何浪も多浪してるやつが山ほどいる。もうとっくに社会人のやつだっているし。年齢は見た目じゃイマイチわからない。べつに何浪もしてるからって上手いわけでもないだろうけど。まあうまいっちゃ上手いひとも山ほどいるわけで、俺はこの馬鹿みたいな人生の選択に今更後悔もしかけていたりする。

高校時代仲良かったあいつらはみんな大学にうかってたりする。あの竹谷は驚くことに医大にいきやがったし。雷蔵と尾浜は推薦組で、久々知は有名大学に入った。あと四年もすればみんな就職して働き出すだろう。稼ぎが阿呆みたいにない俺は馬鹿みたいに絵をかいてるだろうなわけで、想像するだけでやっぱり死にたい気もする。普通であるように装うのは簡単だが、蓋ひらきゃあみんな全く別の顔だ。

「どうなっちまうんだろうな」

自殺願望芽生えるやつが増えんのもわかる気がする。まわりと同じでいたい民族性が日本人だとしたらあきらかに反してるわけだし。反してても全くもって成功するわけじゃないし。てか成功てなんだし。名声とかでいやあ今時は普通の経歴のやつが漫画かいたりして普通に有名になったりもするんだから、多分俺の生き方は確実に迷子ってやつだ。

「雀見て音楽きいて煙草ふかしてる」
「煙草?!お前やめろよな!」
「高いから自分じゃほとんどやってねえよ。先輩にもらったんだよ」
「お前なあ…」
「そもそも授業中になにしてんだ」
「今日は休んだ」
「おま、なにしてんだよ。授業料もったいねえな」
「お前にいわれたくない」
軽口をリプでやりあう。もう随分と会っていないのに字面の画面ごしのやりとりは変わっていないように見える。お前も俺も。きっと変わっちまうだろう。変わってるだろう。











あの頃は、



















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雲みたいに時が過ぎ去る







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