「なっ何するの!?」

「は?え、アレだけ言っといて結局ダメなのかよ!?」

「ち、ちが、良いけど、心の準備が」

「そんなん二年半もたっぷりあったんだからできてろよ」

「無茶言う、んん」


逃げようとする涼野の肩をつかんで、やや強引に口付ける。
そのまま唇に舌を這わせると、恐る恐るではありながらも口を開いて俺の舌を受け入れた。
口腔をかき回す度に、涼野はぐもった声を出して身をよじる。
ディープキスですら慣れていないというのに大丈夫なのかと不安になったが、このままおとなしく寝れるほど俺も冷静じゃない。

口を離した後、首から鎖骨にかけて軽く齧るようにキスをして、最後に強く吸って痕を付けた。
涼野は布団を握りしめたまま口も目もギュッと閉じていた。
大人しいのを良いことにもたれ掛かるようにして押し倒すと、さすがにビックリしたのか目を開けたが、すぐにまた目蓋を伏せてしまった。

「目開けろよ」

「や、やだ、恥ずかしい」

腰をするりと撫でてやるとビクッと体を震わせたが、今度は目を開けなかった。
そっちがその気なら良いだろう。好きにやらせてもらう。

シャツのボタンをすべて外すと、小ぶりではあるが形の良い胸が露になって、思わずたじろいだ。
強気になってはみたものの、女の胸なんて触るどころか生で見るのもこれが初めてだ。
そっと手をあてがってみると、思っていたよりもずっと柔らかくて頼りない感じがした。

痛がらせないように、揉むと言うより軽く潰すような感じでふにふにと感触を楽しんだ。
嫌がる様子はなかったのでそっと先端に口付けてみる。
ちうちうと吸うと、今まで泣きそうな顔をしていた涼野がフッと笑って、「赤ちゃんみたい」と呟いた。

むっとしたが、それより涼野にも少し余裕がでてきてくれたのが嬉しくて、もう片方の手で乳房をそろそろ揉みながら、しばらく吸い続けた。
その後も何回か首に吸い付いたりしてると、涼野もやっと慣れてきたらしく体の力が抜けてきた。
もうそろそろ平気かな、と短パンのゴムに手をかけると、今までの努力虚しく一瞬でガチガチに戻ってしまった。


下着の中に手を突っ込み、そっと撫で上げてみると男にはない、胸とはまた違った柔らかさがあって心臓が高鳴った。
AVやエロ本ならぐちゃぐちゃに濡れているところだが現実はそう都合良くいく訳無く、少し湿っているかどうか分からない程度だった。

恐る恐る指を一本中に沈めてみると、存外すんなり受け入れられた。
中は入り口よりもずっと暖かくてぬるぬるしていていて、ここに入れたらぜったいに気持ち良いと期待が高まり、自分が痛い程勃起しているの分かった。

しかし同時にほんとにこんな小さなとこに入るのかと不安になった。
中は想像してたよりずっとキツく、指一本でもけっこう締め付けられる程だった。
ちょっとずづ出し入れしてみたり、中で指を折り曲げてみたりしたが、一向に広がる気配はない。
指を増やすと途端に涼野の眉間に皺がより、苦しそうな表情になったが、心を鬼にして奥まで入れた。
どうにかして慣らさなきゃ性器なんて入りっこない。

全然気持ちよく無さそうだし、濡れないし広がらないしでいよいよ焦る。
やっぱりこういうのにはテクニックが必要なのか。
もっと勉強しとくべきだったなぁと後悔していると、なされるがままになっていた涼野が体を起した。




「は、はるや」

「悪い、ちょっとだけ我慢してくれよ」

「ちがくて、もう入れていい」

「な、何言ってんだ無理だろこんなんで・・・ぜってー痛いだろ」

「最初は痛いのが普通なんでしょ?」


でしょ?と言われても俺は女じゃないし知るわけないだろうが。
普通に考えてもっと慣らしてあげなきゃいけないことは分かっている。
が、これ以上やっていても柔らかくなる気はしなかったし、何より俺自身が限界だった。


避妊具を付け終わる頃には涼野のそこはもうすっかり湿り気がなくなってしまってて、(最も俺が上手く付けられずに手こずったせいもある)ローションなんて便利なもんは持ってなかったので舐めてどうにかしようとしたが、口を近づけると大暴れで断固拒否された。

「いまさら恥ずかしがるなよ」

「ふ、ふざけるな!そんなとこ、汚い!」

「俺が好きでやるんだからいいじゃねーか・・・」


仕方ないので指に唾液を絡ませて擦り付け、挿入を試みる、がなかなか入らない。
微妙に角度を変えたりしながらぐいぐいと押し付けてみると、先が若干入った気がしたが、


「い、いっ・・・・たい」


さっきまでの生理的なものとはまったく違った、明らかに痛みにより涼野の目から溢れた涙見ると腰がひけてしまう。
もう一度同じようにしてみたが、やはり入りそうになるとか細い悲鳴が聞こえる。
入り口でこれなら奥まで入れたらそれこそ気絶でもしていしまうんじゃないか。
そんなことを考えると段々萎えてきてしまい、今日はやめといた方が良いんじゃないかと思い始めた。
別に急いですることじゃない。


「やっぱりやめとくか?」

「え!?な、なん、で・・・?」

「だって痛いだろ?辛い思いしてまで無理してすることじゃ」


そこまで言いかけると急に涼野がしがみついてきたので、バランスを崩して涼野にのしかかるような形になった。


「私、私は平気だから!だから晴矢していいよ、大丈夫だからっ・・・だから」

「ど、どうしたんだよ急に」


泣きながら袖をぎゅっと掴んでくる姿は、どこか店先で置いてかれるのを恐れる子供みたいだった。
もしかしてコイツ、俺が怒ってるとでも思ってるのか?やれなかったら失望するとでも?


「なに必死になってんだ、怒ってねぇから落ち着けって」

「・・・・・・・」

「俺はこんなことでお前のこと嫌いになったしねーよ」


ワシワシと頭を撫でてやるとコクンと頷いた。
そんな小さな動作にも俺の体は反応してしまう。
涼野はそれに気付いたようで涙でべしゃべしゃの顔でフッと笑った。


「ありがとう・・・うん、でも本当に大丈夫だから。しよう」

「本当にいいのか?今度はやめないぞ?」

「うん、やめないで。本当に無理だったらちゃんと言うから、大丈夫だよ」


本当は怖くて仕方ないくせに健気にそう言って見せる涼野に下半身から変なものがあがってくるような感覚を抱く。
できるかぎり優しくしてやりたいと思うと同時に、めちゃくちゃにしてワンワン泣かせてやりたいとも思う。


そんな衝動をぐっと押さえつけて、涼野の睫毛に付いた涙を舐めとり、先ほどと同じように自身をあてがう。
やはり力を込めると涼野は苦しそうに呻いだが、今度はそのままグッと押しつける。

「っ!・・・う、うぅっ・・・く・・・」

「ごめんな」

一言謝って、力任せに涼野の肩をつかんでひきよせる。
涼野の細い腰が弓なりにしなって罪悪感にさいなまれたが、やめなかった。
スグッと無理矢理肉を押し広げる感じがして、なんとか収まった。
先が入れば以外と後は楽に入ることが分かった。


「あっ、あぁっ・・・あ、」

「ほら、入ったぞ。平気か?」

「へ、へいきなわけ、ないだろ、ひっ・・・うぅ」


さっきまで『大丈夫だよ』なんて言ってたのにいざ入れられるとそんな余裕ないらしく、グズグズ泣きながら何度も俺の二の腕を叩いてきた。
痛かったが、今俺がコイツに与えている苦痛に比べたら可愛いもんだろう。

ごめんな、悪い、すぐ終わらせるから、と同じような謝罪の言葉を繰り返しながらゆっくりゆっくり動く。
涼野の中は暖かくて、俺を離すまいとギチギチに締め付けてくる。
快楽で頭がぼんやりして、つい思い切り、欲望のままに突き上げたくなってしまうが、何度も涼野の頬に口付けて我慢する。

「はるや、はる・・・や、気持ち良い?」

「あぁ・・・すげー良いよ」

「・・・よかった」


そんな嬉しそうな声色を聞いたら流石の俺も自分の限界を感じる。
そのまま涼野を潰れそうなぐらい強く抱きしめて、終わった。








事後ってのはロマンチックなもんだと思ってたが、現実はそうでもない。
終わった後一緒に風呂に入ったが、もう俺も涼野もフラフラで、恥じらいもムードも無くただ無言で汗と汚れを洗い流しただけだった。

ベットに戻ると気怠さも少し収まり、聞いておきたいことがあるのを思い出した。


「あのさ、なんで今日いきなりあんなこと言い出したんだ」

「・・・だって泊まれる機会なんてめったにないし・・・。そ、それにこの前照美に相談したら、二年以上も何もしてこないなんて、南雲は勃起不全なんじゃないかって言うから、もしそうだったらどうしようって不安で・・・」

あいつ、何てこと吹き込んでやがる!
まぁ結果的にそのお陰で事に至れた訳だから今回は許してやろう。

「やっぱり布団、出なきゃ。ヒロトに見られたら」

「明日の朝出りゃいいだろ。あいつもそんなに早くは帰ってこねぇよ」

涼野は何か言いたげだったが、そのまま腕の中に閉じ込めてやったら大人しくなった。
さすがに初体験というのは男の俺にとっても精神的にも肉体的にも堪えるもので、本来ならもっと涼野を眺めていたかったが、すぐに深い眠りに落ちてしまった。


疲れ果ててた俺はたちが早起きなんてできる訳も無く、帰ってきたヒロトと遊びにきたリュウジのせいで翌日の朝は軽い地獄を見た。




事を済ませてから3日経った月曜日。
自販機で何を買おうか迷っていたら後ろから声をかけられた。


「脱童貞おめでとう!」

「おめでとうじゃねえ!でかい声で何言ってやがる!しかもお前涼野に変な事吹き込んでんじゃねーよ」

「は?吹き込む?何を」


嘘をついている訳でもなく、素で完全に忘れているらしい亜風炉照美に声を無くした。


「お前俺がEDだとか言っただろうが」

「ああ!それのことか!でも良かったでしょ〜それでできたんだしさ。あ、僕ちょうど咽乾いてて」

「奢らねーぞ。自分で買え」

「あれーそんなケチ臭いこと言っても良いのかな。今回の件だけじゃなくてミニスカートとかを涼野ちゃんに勧めたのも
僕なんだよ?」

「・・・好きなの選べよ」



照美はそのままカフェオレを飲みながら去っていこうとしたが、途中で振り返った。

「そうだ!他にも吹き込んでほしいことあったら言ってね!特殊なプレイとかさー」

言い終わると、言い返す暇無く笑いながら階段を降りていってしまった。
何を考えてるんだアイツは。




「今度は飯奢ってやるか・・・」





2011/11/24
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