大学生南雲×幼女涼野
白亜さんの漫画の設定を使っています。


ジリジリと日差しが照りつけて、汗を拭うのさえ煩わしい。
夏の真っ昼間、茹だるような暑さの中、俺は近所のスーパーの袋をぶら下げて自分のアパートへ戻ろうとしていた。
空腹のせいで余計イライラが増す。
こんなことならやっぱり学食でなにか食べてくりゃ良かった。
だが俺がそうしなかったのには訳があった。

やっと古いマンションが見えてきたと思うと同時に、道路の端に小さな白い姿が目に入った。
あっと小さく叫ぶとその白いのがかけてくる。
髪の色が白いから白いワンピースを着てるとコイツは真っ白だ。

「おかえりおかえり!」
「わかったから、足を掴むな歩けねぇだろ暑いだろ!」
「わーい今日ははやい!お昼一緒に食べよ〜」

きゃっきゃと喜びながら足下に擦り寄ってくる姿はやっぱり愛らしくて、学食の誘惑に勝って良かったと思う。
どうやら学校のプールの帰りらしい。
女の子らしいピンクのビーチサンダルを履いて、ビニールの手さげバックを持っている。
髪の毛の先からポタポタと水が垂れて、ワンピースに染みを作っていた。

「まーた頭ちゃんと拭いてねえなお前。風邪引くぞ」
「大丈夫だよこんなに暑いんだもん。すぐかわいちゃうよ」

乾く時に熱を奪われるんだよと説明してやろうかと思ったが、子供言った所で無駄だろう。
確かにこんなに暑くちゃ少しぐらい身体が湿っていた方が楽かもしれない。
すでに俺は汗で全身びしょびしょだが。



俺の部屋のドアを開けてやると、風子は遠慮も無しに部屋に入り込みバタバタ走り回った。
よくもまぁこの暑い部屋で走る気になれる。さすがガキンチョ。
ハンカチを出すのも面倒くさくて、着ていたTシャツを脱いでそれで身体を拭いた。
窓を開けても吹き込んでくるのは生温い風ばかりで思わず溜息をつく。

「しゃーない…クーラー付けるか」
「わーいクーラー!」

電気代が気になる所だが、こう暑くちゃ冷静にものも考えられない。クーラーのスイッチを入れて、スーパーの袋から弁当を取り出す。風子には菓子パンを投げてやった。

少し前、俺は心の迷いから(そう思いたい)この女の子によからぬことをしてしまった。
当時は警察沙汰だ、下手すりゃまだ若いのに人生が終わってしまうと思い冷や汗が止まらなかったが、それがどう転んだらこんなことになるのか。
こいつは俺を恐れるどころか俺に懐いてしまい、頻繁に会いにくるようになった。
こいつの部屋が俺の部屋の真下だと知った時は心臓が飛び上がったが、今では親公認。
それどころか子供の面倒を見てくれる良いお兄さんのような認識をされているようだ。
自分の子供が殆ど会いにくる度に、あのようなことをされてると知ったらどう思うのか…。

罪悪感が無い訳じゃないが、今更やめられないよなぁ…。
そんなことを考えながら俺はパンを頬張る風子をぼんやり眺めていた。
視線に気付いた風子がこっちを向く。

「なーに?」
「風ちゃん氏、俺のことお母さん以外に言ってないよな?」
「学校の友達と先生に言ったよ?」
「なっ!?」
「風子にはかっこよくて背の大きい『カレシ』がいるんだーって」

良かった。その説明なら学校の先生も小学生の恋人妄想だと思ってくれただろう。

「俺のことはこれから誰にも言っちゃ駄目だからな」
「えー?うんー…?」

いまいち説得力の無い返事だったので子供が喜びそうな事も追加してみる。

「二人だけの秘密の方がドキドキするだろ?」
「!!……わかった内緒にしとく!」

単純でありがたいこった。単純で純粋だからこそ、俺との関係を悪いと思っていない恐ろしさがあるのだが…。

「はるやさん今日は帰ってくるの早かったね!」
「ん?あぁ。今日は午前だけだったからな」
「明日も?」
「いや、明日は4限まであるし、バイトも…」
「そっか…」

露骨にガッカリ、といった感じでうなだれられると、少し可哀想に思えてくる。
両親が共働きで帰りも遅いので、コイツはいつもひとりぼっちだ。
夏休みとなると友達もみんな田舎に帰ったり家族でレジャーに出かけたりで、なかなか構ってくれないらしい。
これだけ一緒にいると少しは親心というか、保護欲みたいのが沸いてくる。

「俺もそろそろ休みだから、そしたらどっか連れてってやるよ」
「ほんと!?わぁあーありがとうはるやさん!!」」
「だーあーあ、やめろ、暑いから抱きつくなって」

パンのカスを口の周りにたっぷり付けたまま顔を胸板に押し付けてくる。
正直に言ってしまえば授業の無い日は昼まで寝ていたいのが本音だ。
だがまあ、夏の思い出の一つや二つ作ってやらなきゃ可哀想だろう。
俺自身、小さい頃にあまり親に構ってもらえなくて寂しい思いをしたから、というのもある。
水族館とかに連れて行くだけでこいつの笑顔が見れるんなら安いもんだ。

「じゃあ遊びにつれてってくれるおれいに…あ、いっぱいえっちなことさせてあげるね!」

思わず口に含んでいた麦茶を吹き出す。

「いきなり何言ってんだ!」
「遊んでくれるんならわたしもはるやさんに何かしないと。世の中ぎぶあんどていくだもんね!」
「お前はまた…どこからそんな言葉を…」
「テレビでいってたの!はるやさん、わたしとえっちするの好きでしょ?」
「………」

そう言われると黙らざるを得ない。
あれだけ何回も行為を繰り返していたら嘘でも好きじゃないとは言えないだろう。
こうなったら開き直りだ。

「あー好きだよ。エッチも好きだし風子のことも好きだ」
「わーはずかしい!ふふふふっ…」

そう言うと風子は顔を真っ赤にしてきゃっきゃと喜びながら畳をゴロゴロ転がり出した。
こういう動作は年相応、実に子供らしいのだが、夜のコイツは妙に色気がある。
下手すりゃそのへんの大人の女よりも。そのせいで俺はなかなか欲望を断ち切ることができないのだ。

「風子、こっちこい」

呼び寄せて自分のあぐらの中に座らせる。身体が小さいからすっぽりだ。
頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めて身体を擦り寄せてきた。

「はるやさん、うわきはダメだからね?風子が結婚できるようになるまではるやさんは風子のコイビトだからね?」
「ハハ、お前が大人になる頃には俺はおっさんだぞ?」
「それでもいいの!はるやさんはクラスメイトなんかよりずーっとすてきだもん」

汚されたことを知らない真っ白な女の子。
どうせもう戻れないならその白をじっくり俺の色に変えてやろう。
できることならこの子が大人になるまで。
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