これの別バージョンです。
家に連れ込んでからのシーン。
南雲が酷い。ゲスい。性描写、暴力描写、後味の悪さ等々。
全てを許せる方だけお願いします。








「な、なんで…やだ、いや、や、やめて」
「はぁ?」

南雲の腕を掴む指が震える。歯も同様に、カチカチと音をたてた。
訳が分からない。どうして。南雲はこんなことする人じゃない。
何かの冗談だ。でもさっき顔を殴られた。南雲は優しいのに。

そんな答えの出ない考えが頭の中でごった返して、パニックになりそうになる。
首筋にいやな汗が流れた。
南雲の顔を恐る恐るもう一度見ると、さっきよりずっと冷たい目で私をジッと見つめていて、思わず息をのむ。
説得しなきゃ。私の考えをまとめるために時間を稼がないと。

「こんなの、絶対変だよ。おかしい、って…わ、私まだ子供だし」
「16ならもう籍も入れられるじゃねぇか。現にお前バイトして金稼いでるだろ。どこが子供なんだよ」
「南雲よりずっと、子供って、意味で」
「俺は気にしないぜ?そういうの」

南雲はハッと乾いた笑い声をあげた。本気で言ってる訳じゃなくて私を馬鹿にしてるんだ。
私は途切れ途切れになりながら必死に言葉を出しているのに、南雲は容赦なく私を責めて立てるから余計に焦ってしまう。

「それとも何だ。お前はいくつも上の俺に抱かれるのなんてまっぴら御免ってことか?」
「そうじゃなく、て」
「そうだよな。お前俺の事好きだもんなぁ」
「えっぁ」
「好きじゃねえの?じゃあ好きでもない男の家にほいほい入ったのか」
「…ね、南雲。は、話そうよ、ね?」

南雲は今度はクツクツと喉を鳴らした。私はこの笑い方が大好きな筈のに、今は怖くて仕方ない。
逃げなきゃ。思うのが先か動いたのが先か、少し緩んでいた南雲の両腕から身体をよじって抜け出した。
だけど、下半身はまだ南雲の下で足の上に座られたらもう動けない。
それでもどうにかしようと南雲の腰を退かそうと暴れたら顎を殴られた。

「あ゛うっ…え、…」

頭痛と目眩が同時に襲ってくるような、初めて味わう苦痛に動けなくなる。
後ろに倒れ込んだら後頭部をもろに打ってしまった。畳でもすごく痛い。
前からも後ろからも頭を刺激されて、視界がグラグラ揺らぐ。気持ち悪い。
殴られた拍子に切れたのか、血の味がした。
ぼやける視界で南雲を見ると、大人しく寝転がっている私の腹に手を伸ばしていた。
そのまま手に体重をかけられて鳩尾を圧迫される。

「うあ゛っあ!!やめ、ぁ、」

息が出来なくなり吐き気が込み上げる。
お腹が空いてて良かった。口の中が酸っぱくなっただけだった。
こんな事をされながらもこの男の部屋の床を汚す事に抵抗を持つ自分に悲しくなる。

「だから殴りたくねぇって言ったのによ」

南雲はまったく気の込められていない声で呟いて、ブラウスを左右にブチブチ裂いた。
動けない私は、周りに散らばっていくボタンたちを見てるしかなかった。





「う、や、痛いよ、南雲」

南雲は私の制止の言葉を聞かずにグイグイと自身を押し付けてくる。
急にフッと離れたので諦めたかと思ったら、何やら小さな入れ物からトロトロと透明の液体を自分の指に垂らしていた。
その指を私の中に無理矢理突っ込んで、ぐちぐちと動かす。
痛くはないけど気持ち良い訳でもない。自分でも触った事のない場所を弄くられる感覚に不安になる。
南雲はもう一度液体を出し、今度は自身にかけて再び私にあてがった。

「うあっ、あ、あぁ、あ゛」

ズッという衝撃と共にすごい痛みと圧迫感が下腹部に走った。
うまく息ができない。止めようと身体を押さえてもどんどん私の中に入ってくる。
声すらまともに出せなくて、私は魚みたいに口をパクパクさせた。

さっきまでは全然駄目だったのに、少し滑らせただけで思ったよりも簡単に受け入れてしまった。
南雲の言う通り、私はもう大人になりかけているんだ。そう思うとまた吐き気が込み上げる。

抜けてしまうスレスレまで抜かれると内臓まで引きずり出されるような感覚に呻き、また奥まで突き上げられると肺まで押上げられるようで噎せ返った。
世の中の女というのはこんなおぞましく辛い行為を何度も繰り返しているのだろうか。
ああ、うう、と同じ様な声を繰り返し出す私を見て、南雲は口端をゆがめていた。




その後も何回か同じような事を繰り返され、
私が思わず抵抗するとその度にお腹の色んな所に拳が埋め込まれた。

抜かれる頃にはもう痛みも何もかも自分のものじゃないような気がして、酷いことになってるなぁなんて冷静に考えていた。
半ば放心してる私を無視して、南雲は勝手に鞄から私の携帯を取り出した。

カシャ、と機械の音が響く。そのままカチカチと何やら弄っていた。私なんて撮ってどうするつもりなのか。

「へぇ、意外だな。アンタみたいなタイプ、友達なんか一人二人いりゃ良い方だと思ってた」

どうやらアドレス帳を見ているようだった。

「ここに載ってるヤツ全員に送ってやろうか?」

南雲が笑いながら見せてきた画面には、裸の私が汚れた身体で横たわっていた。

「びっくりするだろうなぁアンタの友達。あの真面目で大人しい涼野さんがさ、こんな女だって分かったらよ」

友達、なんて言ってもそれは一人にならない為の友達だ。
決して何でも話せる親友なんかじゃない。
遊んだことも無いし、ただ学校で一緒にいるだけ。メールだって殆どしてない。
その皆にこの写真が送られたらどうなるんだろうか。
私は明日からどんな目で見られるのだろうか。
いったい何人が、私の話を、言い訳を、事情を、聞いてくれるのだろうか。


「店長のアドレスまでご丁寧に入ってるのか。送ったらもうバイトはできないだろうなぁ。それともあのオッサンのしゃぶって媚び売るか?それも良いと思うぜ。そっちのほうが儲かる」

南雲が言っている事は聞こえるが、理解できずそのまま流れて行く。
私の頭の中ではクラスメイトの視線が渦巻いていた。

そうだ、お父さん。お父さんのアドレスも入ってるんだ。送ったら、送ったら、


「ごめんなさ、い…。言う事聞きます。黙っています。だから送らないでください…」


上半身だけなんとか起こして謝るように畳に頭をくっつける。
南雲はつまらなそうに鼻を鳴らして、携帯を投げて返してきた。
中を確認すると、南雲の携帯に先ほどの画像が送られていたが、他は何も無かった。
さすがに履歴を消すことまでしないだろう。ふっと身体から力が抜ける。


拾い上げたブラウスを見ると、見事に前が全部外れていて、上着を持ってこなかったことを悔やまれた。
散らばったボタンを一つずつ拾って握りしめる。


「ふ、く…貸して下さい」
「あ?…あぁボタン取っちまったもんな。悪い悪い。そこ、適当になんか取ってけよ」

箪笥を指差しながら、南雲は今までしてたことを全部忘れたみたいに、あるいは、まったく取るに足らない事かのようにいつもの調子で話した。

「出前取ってやろうか?約束したし」
「いらない、です」
「なんだよいきなり。普通にしろよ。あーそうだ。今度から勉強教えんの俺の部屋で良いよな。いちいち出かけんの面倒くせえし」




外に出ると辺りはすっかり暗くなっていた。
早く帰らないと。お父さんが寝てしまったら家に入れてもらえない。
重たい足を動かすと、握りしめていた拳からボタンが一つアパートの廊下に転がり落ちる。
カラカラと小さく金属の音を鳴らしながら回り、私の足下で止まった。
それを拾おうとかがみ込むと、途端に視界が曇ってボタンがよく見えなくなった。
あれだけのことをされても平気だったのに今度は止まらない。鉄格子にもたれ、嗚咽しながら静かに泣いた。
金属が唇に触れ、さっきも感じた鉄の味が口の中に広がる。
私の初恋は酷く汚い味だった。





カラミンサ。花言葉は「清涼・拒否する心」
2012/06/08
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