【リクエストより水着ネタ。涼野女体化注意。】



ありとあらゆる音がする放課後のグラウンド。
帰宅途中に友達ときゃあきゃあ騒いでいる女子の声。
ランニングをする運動部の足音。
その中に高い笛の音が響く。

「10分休憩!!」
合図とともにリフティングやパス練をしていた仲間達があちこちに散らばる。
俺もドリブルの足を止めて、プール近くの日陰に移動する。

「さすがに真夏の練習はキツいねー」
汗を拭きながら、幼馴染みの茂人が近づいてきた。

「そうだな」
「この時期ばかりは水泳部が羨ましいよ」

そう言って茂人と共にプールサイドを見上げる。
フェンス越しに水しぶきが見える。
あの子は居ないようだ。それとも今まさに泳いでるのだろうか。


俺は同じクラスの彼女、涼野に一方的に好意をよせている。
美人で成積優秀、スポーツ万能だが人気者という訳ではない。
どちらかと言えば影が薄くていつも消え入りそうな雰囲気だ。
告白を考えたこともあったが、ストイックそうな彼女が男になびくとは思えない。


ペタペタとプールサイドを歩く音が聞こえる。
茂人が気付いていないことを確認して、そっとその影を見る。
涼野は水泳部だ。よくこのフェンスに寄りかかって休憩をとっている。
今日もいつもと同じ場所に立っている。

やはり今泳いできたようだ。体中からポタポタと雫が垂れていた。
いつもはふんわりとしている髪もペッタリと頭についており、それを鬱陶しそうに手でかき上げる姿に思わずドクリと心臓が跳ねる。

あまり大きいとは言えないが、スクール水着がピッタリと皮膚にくっ付いているおかげで胸の形がよく分かる。
胸からグッとくびれた腰にかけてのなだらかな曲線。水の滴る尻と太腿。

「ねえ、晴矢ってば聞いてる?」
「あ、あぁ・・・」

声をかけられてハッと我にかえる。
バレたかと思ったが、それとほぼ同じに涼野が歩き出したのでギリギリ大丈夫だったようだ。

「誰か居たの?」
「いや別に。冷たそうで羨ましいと思ってただけだ」

このように部活の休憩時間に涼野の姿を見るのが秘かな楽しみだった。
最も、いつもサッカー部の俺と涼野が休憩をとるタイミングが合う訳ではないから、じっくり見れた今日は運がいい。



そんなある日の体育の授業。
たまたまグラウンドが整備中で使えないため、女子と合同で水泳になった。
俺にとってそれは待ちに待った至福の時であるが・・・同時にヤバいと思った。

授業開始前、思春期真っ盛りな男子たちは、授業そっちのけで誰の胸がデカイだとか、あいつ以外にスタイルが良いだとか騒いでいる。
馬鹿な奴らだなぁと思いながらも俺もだいたい同じようなものだ。
涼野の姿をいつもよりずっと近くで見ることができる。そう考えると体中がドキドキと火照る。
その上、いつもはせいぜい3、4分見れれば良い方の涼野の水着姿をほぼ1コマ中見ていられるのだ。
嬉しい。嬉しいが、この興奮を抑えられるか心配だ。


授業中、ずっと見てられると思ったがそうでもなかった。
たくさんの人に紛れて涼野がどこにいるのかイマイチ掴めない。
やっと見付けると、ちょうどプールの中に入り、泳ぎ始めたところだった。
さすが水泳部。綺麗なフォームで素早く泳ぐ。
いつもは目立たない涼野だが、今日ばかりはおお、とあちこちから歓声があがる。

涼野はあっと言う間に25m泳ぎきり、プールサイドにあがる。
ゴーグルを外して肩紐に挟もうとする際、見えてしまうんじゃないかってぐらい胸元が曝け出されているのに気付いてカッと熱くなる。主に下半身が。

するとそのまま涼野は、遠回りして女子の列に行くことなく、進んできた。
おいおいおい!思わず動揺する。

女子ってのはふつう裸に近い格好を男子に見られまいと集団で固まっていたり、タオルで身体を隠したりしているが、涼野はそんなの全然気にしていないようだ。
当たり前のように男子側のプールサイドも歩いてくる。隠しもしないで。
見たいが、見ないようにしよう。これ以上はキツい・・・。
そう思って俺の前を通ろうとする涼野から目を逸らすが。

カチャン、と足下から無機質な音がして、プールサイドに目を落とすと涼野のゴーグルが落ちていた。
ちゃんと肩紐に挟めてなかったらしい。拾い上げたが涼野は気付かずに進んでいってしまう。

「お、おい」
「?」

肩を軽くつつくつもりだったのだが、急に涼野が止まったのでグッと二の腕を掴んでしまった、
柔らかい感触。水に濡れたせいで皮膚がしっとり湿っており、まるで手に吸い付いてくる様だった。

「っ!?」
「・・・?なに?」
「あ、いや、ゴーグル!」
「あ、落としてた?どうもありがと」

涼野は素っ気なくそう言うと手からゴーグルを取り、俺の心境など知らずに去っていく。

「・・・・・・」

女の子の腕ってあんなに柔らかいものなのか。それとも涼野だけ?
腕であんなに触り心地が良いのなら、胸は、太腿は・・・・。



俺は出口に向かってプールサイドを早足で歩く。

「あれ、どうしたの晴矢」
「ちょっと便所」
「あはは、授業始る前に行っとかなかったの?」


ウブな茂人は俺が前屈みで歩く理由に気付いていないようだ。





2012/04/22
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