2019年9月18日

そもそもの始まりは、バイト先の店長に誘われてワンピースの映画を見たことだと思う。それですっかり気に入ったローさん。トラファルガー・ロー。フルネームは長くておぼえられない。声が好きで、映画の間ずっと心の中でペンライト振ってた。
原作もろくに知らないまま、ツイッターで夢SSばかり見ているうちに知った、ピエロみたいな人。ローさんの大事な人。死んでしまった人。殺されてしまった人。それくらいしか分からないけれど。
大事な人が死んでしまう話は、好きだけれど苦手だと思う。あの人を思い出すから。あの人のことを思い出すのは良いけれど、悲しい気持ちになるのはすこし苦しい。
ここ2、3日ずっとそのせいでもやもやしたまま、泣きたいのにうまく泣けない状態が続いていたのだけど、今日、とうとう何かが決壊した。お風呂に入っている途中から急に泣きだして、ぼろぼろと涙を流しながら頭を洗って、身体を洗って、顔を洗った。
──るりちゃん。
──"もうすこし、待ってて。"
──行かないで。
──殴ることが、できるなら。
──引き金をひくその手で、首を絞めて。
あの幸福な夢を見ながら、永遠に眠っていられたらいいのに。あんなものを見せられたら、見てしまったら、私はもう永遠に幸福にはなれないと、気づいてしまう。思ってしまう。私は、あの人に愛されたかったわけじゃない。ただ、生きていて欲しかった。悪人になってもいい。ただ、あんな悲しい最期でなければ。私の中の影も、こんなに悲しいものにはならなかったはずなのに。
…泣きすぎてお腹が痛かった。たぶん、もっと泣けば、ろくに入ってもいない胃の中身を全部吐き出すことになる。子どもみたいに大きな声で泣くこともできないくせに、ばかみたい。ほんとうに。時々、ほんとうに時々、たくさん泣いているのに気分が晴れないことがある。生理はもう終わったのに。涙が止まったと思っても、またすぐに暗い気持ちになってしまう。
あの幸福な夢の続きを、ずっとみていられたらいいのに。