2018年6月21日

恋と憧れの違いがわからなくなったら。
どうすればいいかわからなかった。
遠い人──好きな作家、歌手、声優──なら、そこまでひどくはないのだけれど、近い人は、ときどきよくわからなくなる。
きほん、人に興味がないせいかもしれない。普段は気にもしないぶん、持ってしまった興味が、好意が、人へのものなのかそうでないのか、区別がつかなくなるのかもしれない。
落ち着いて、考えればいい。
なにが好きなのか、ではなく。
その人のどこに、興味があるのか。
好きな作家は、生み出される本に。歌手は、その歌声に。声優は、声と役柄に。
好きな哲学の先生は、その思考に。……哲学の先生に関しては、ほんとうに、その脳みそをそっくりそのまま欲しいくらいだ。知識と考え方を、コピーさせてほしい。とても。
でも、よく考えると、その人そのものにはさほど興味がない。
どこで生まれたの。
どんな子どもだったの。
どんなふうに生きてきたの。
好きな食べ物は。
歌や映画や本の好みは。
得意なことは。
嫌いなものは。
ちゃんと寝てるの。
ちゃんと食べてるの。
怪我しないで。
……そういうことは、彼にしか意識が向かない。昔も今も、好きも嫌いも、ぜんぶ教えて。そんなふうに思うのは、彼だけ。
赤毛の彼が、苦笑する。
──心配性だな。
心配だよ。死んだりしないでね。
死なねェよ。
にやりと青い目が笑った。