2018年6月6日

ここ3日くらい、ずっと暑い。
最高気温が30度とか。
暑い。
夏はきらいだ。
死にたくなる。
いや、いつも死にたがっているけれど。
お日さまと、湿気と、草の青い匂い。爽やかだな、と思うと同時に、夏だとも思う。死にたい。
お昼は暑くても、夕方になれば気温も下がる。洗濯物を干して窓を開けると、涼しい風と匂いが部屋の中に流れた。
バイトがないと、何をしていいか分からなくなる。
山と積まれた洗濯物。
発売されたらしい漫画の新刊。
日用品や食材の買い物。
やろうと思えばやらなきゃいけないことはいくつかあるけれど、どれもやる気にはならない。
夏の匂い。
夏はきらいだ。
いやなことばかり思い出す。
──。
どうしたの、るりちゃん。
──、会いたいな。
俺はずっと、ここにいるよ。
違うんだよ、そうじゃないんだよ、私は、わたしは……。
ごろり、と床に転がる。
──。口の中で、もう一度その人の名前を転がす。言葉には、したくない。

実存とか、実体とか、属性とか。
デカルトは、「考える」とはつまり「思考」であり、「思考」は「属性」に分類される。「属性」と「実体」はセットだから、私という「思考」が存在するのなら、私という「実体」もある──我思うゆえに我あり──とした。
じゃあ、中也さんは存在しなくなっちゃうね。だって、中也さんにはひとつも属性なんてないもの。姿も、形も、何もかも、私の影でしかない。
──俺ァどっちでもいいぜ。
ふうっと紫煙を吐いて、彼は笑う。
──ゆき。なんだっていい。俺は、お前のモンだ。それ以外に大事なことなんかねェだろ。
そう、なのかな。
本当に?
でも、あまり考えたくない。
彼に、頭を撫でてほしかった。