一足先にお布団に寝転ぶ。


今日は仕事が大変だった。


そんな私を気遣ってか、先にゆっくりお風呂に入らせてくれた銀ちゃんは只今入浴中。

かすかに銀ちゃんの鼻歌が聞こえる中、お風呂で温まった身体が少しずつ冷えていくのが気持ちいい。




銀ちゃん、早く上がってこないかな…

私は銀ちゃんに甘えて、抱きついて、銀ちゃんの温もりを感じるのが一番癒されるのに。



早く銀ちゃんの大きな掌で頭を撫でてほしい。
優しい声で名前を呼んでほしい。



そう思いながら、徐々に身体が動かなくなって、瞼が落ちてくる。



ダメだダメだ、銀ちゃんが上がってくるまで、待ってないと。

せっかく銀ちゃんが来てくれたのに…





そう思いながらも、もう瞼が重くてしかたない。




「銀ちゃん…」
「…おやおや、由芽ちゃんおねむかい?」
「……銀ちゃん…」


今、銀ちゃんの声が聞こえた。


一生懸命目をこじ開ける。


銀ちゃんは何ともいえない表情で頭をタオルでガシガシ拭いていたけれど、ふっと苦笑して


「…もう寝なさい?」


と言った。


正直もう目が開かなかったけれど、銀ちゃんに触れたくて、イヤイヤと小さく首を振った。


すると銀ちゃんは濡れたタオルを置いて戻ってくると、私にきちんと毛布をかけて、自分も一緒に毛布に入った。



私は疲れきった身体を一生懸命銀ちゃんの方に向ける。




私の頭のすぐ目の前に、銀ちゃんの頭がある。
まだ生乾きの銀ちゃんの髪の毛が額に触れて、ひんやりと気持ちよかった。



銀ちゃんが

「…疲れたんだろ?」

と囁く。


うん、でもね、

と、頭では思っているのに、言葉に出ない。

もう今にも眠ってしまいそう。



「…ぎん ちゃ…」
「わかったわかった、銀さんはココにいますよー」

そう言った銀ちゃんがクスッと笑ったのがわかって、嬉しくなる。


もう目は開かない。
でも銀ちゃんの笑顔は見なくてもすぐに思い浮かぶ。


銀ちゃんは、子供を寝かしつける時のように、軽く私の背中をトン、トンと一定のリズムで叩く。


そして、ちゅ と瞼にキス。

「おやすみ、由芽」




あぁ、なんて幸せ。


私は言葉にできない代わりに、微笑む。



私が今、銀ちゃんのおかげで幸せなんだって、伝わればいい。

銀ちゃんのことが、銀ちゃんの声が、銀ちゃんの腕が、銀ちゃんの体温が、銀ちゃんの全てが。

愛しくて愛しくて、大切で

そんな銀ちゃんの隣で眠れることが、どんなに幸せか。






すると銀ちゃんは

「はいはい、いいから、由芽ちゃん笑ってないで寝なさい」


と、クスクス笑って、今度は唇にキス。






おやすみ、銀ちゃん。
良い夢を。










微睡みの中、君の声






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