ありえないありえない、ありえない変態教師!!!!

わざとらしい言い方しといて、何が
『いやらしいことでも考えてたのかー?』
だ!!
誰が掃除なんかやるか!!

私は、怒りに任せて廊下をドスドスと音をたてて早足で歩く。

きっと眉間にシワがよってるハズだ。

それくらい、不機嫌だ。


子供だと思ってバカにしてんのか、あの変態教師。

あのニヤニヤとした顔を思い浮かべると

「〜〜ムカつくっ!!」

誰もいなくなった教室で、そう叫ぶ。

すると、掃除道具入れの扉が急にバンっ、と開いて、中から沖田が出てきた。


「び、びっくりした…!!」
「なぁにイライラしてんでぃ。生理か?」
「うざ。違うし。それセクハラだよ?
 っつかあんた人の教室で何やってんの?あんたZ組でしょ?」


Z組。あの忌々しい坂田のクラス。
もはや沖田すら憎い。


「かくれんぼでさぁ」
「…あ、そ」
「冷てぇ反応だな」
「またバカやってんだなと思って」
「お前ほどじゃねぇや」
「沖田よりバカっていんの?」
「いる。目の前に。」
「…誰とかくれんぼしてんの?」
「山崎」
「ざっきー!!ココに沖田いるー!!」
「ウソでさぁ。本当はストーカーごっこ」
「うざ…!!ってか、なんて陰湿な遊びしてんの…?!!」


私が引き気味にそう言うと、沖田はニヤリと笑った。


小学校が同じ区域だったから知ってる。
コイツはドSで、こういう笑い方をした時はロクなことが無い。


「ターゲットはお前。
 今お前が叫んだことにより、ストーカーごっこに参加してるやつがココに向かいはじめただろうよ」
「は…?!!」
「つまり、放課後になった瞬間から、お前は何人かに監視されてたってわけでぃ」
「ちょ、何やってんのなんで私?!!」
「面白い放送があったから」



面白い放送というと、アレか。
やっぱり銀八にはもっといろいろ投げつけておけば良かった…!!


「……ちょっと待ってもしかして…!!」



まさか、さっきの国語準備室でのことも見られてたんだろうか。
手のひらに嫌な汗をかく。ジリっと後ずさると、ニヤリと笑った沖田は、言った。


「心配すんねぃ、さっきのを見てたのは俺だけでさぁ。他のヤツらは、俺の偽の情報に惑わされて、まずお前を見つけるのに手間取ってるはず。
 まぁさっきお前が叫んだからそろそろ山崎あたりが来そうだがねぃ」
「なんで?!!」


意味がわからない。
なんでストーカーごっこを多人数でやってんのかも、そのくせ沖田が他の人をまいたのかも。

何がしたいんだコイツ。
そして本当に怖い。


すると沖田は、フッと怪しい笑みを浮かべて言った。


「あんな面白そうなとこ他のヤツに見せるのは惜しいってもんでぃ」




次の瞬間、私は鞄をひっつかんで廊下へ飛び出した。

直線の廊下を、全力で走る。

沖田のヤツ、悪魔だ。
きっと人の不幸を食べて生きてるんだ。
っていうか私を脅してどうするつもりなんだ。



全部坂田銀八のせいだ…!!!!




私は急いで下駄箱へ向かう。

曲がり角を曲がるために、少し減速するが、そうは言っても全力疾走中。


急に見えた人影に気づいたものの、避けることは出来なかった。



勢いよくぶつかる。
意外と痛い。


でも私はそれどころではないのだ。


そのまま走り去ろうとするも、セーラーが後ろに引っ張られて首が締まった。
その勢いで引っ張ったヤツに背中がぶつかる。


「ぅえ」
「おいおい、ぶつかっといて謝罪も無しか?」


誰だ、そんなヤンキーみたいなこと言うのは。
私はそれどころじゃないって言ってんだろう。

口には出してないけど。


そう思って斜め後ろを睨みつけると、そこには相変わらずめんどくさそうな銀八先生がいた。



その向こうの曲がり角では、沖田がニヤリと笑っている。




「…最悪」





今日は走ってばっかりだ

と、全力で走って上がった息と、ドッと噴き出した汗を感じてそう思った。












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