第一印象は、フレンドリーな子 だった。
そして最初はとてもびっくりしたのを覚えている。
ふわふわした髪が鮮やかな赤で、イチゴみたいだった。

こんな、明るくて元気で、いかにも外で体動かすのが大好きで、お昼ご飯なんかすぐ食べちゃって、誰よりも早くボールとか持って校庭に走っていっちゃいそうな子が、時々自分でもケーキ作るって聞いて、もっと驚いた。

「んめー、春川、コレウマいわ、お前やるな」
「ありがとー」

丸井君はもぐもぐしながら小さめのショートケーキを完食した。

私と鈴音ちゃんの分以外全部だから、8割彼が食べたことになる。


「俺も時々ケーキつくるからわかるけどよ、スポンジの加減難しいだろぃ?
でも固さも甘さもちょうどいいしクリームもうめー」

ペロリと唇を舐めた丸井君は、男子に呼ばれて

「ゴチ!!」

と右手を挙げると、教室の外へ走っていった。

やっぱり外に遊びに行っちゃう元気な子には違いないみたいだ。

「慌ただしいなぁ」

鈴音ちゃんが、自分用に切り分けられたケーキからイチゴを一つ口に入れて言う。

「イチゴも甘くておいしい」
「ねぇ、丸井君てこのクラス??」

実は私は隣りのC組だ。
立海は給食じゃないから、お弁当か海風館で食べる。
だから私は仲の良い鈴音ちゃんのところへ食べに来るのだ。

この間3年生になったばかりなので、まだこのクラスのドアを開けるのは少し緊張する。

クラスが変わって間もないというのに、早くもクラスごとに独特の空気が出来上がっているから学校ってスゴい。


「うん、B組。丸井君とは去年も同じクラスだったわね」

鈴音ちゃんは誰もいない席を見つめて言った。
そこが丸井君の席なんだろう。


去年は鈴音ちゃんが私のクラスにお弁当を持ってやってくる方だったからか、あまりピンとこない。


でも、たしかに居たような気がする、かも。




鈴音ちゃんはすぐにケーキに視線を戻して、最後の一口を食べ終わると、満足そうに両手を合わせた。

「ごちそうさまでした」

私もそれに続いてお弁当箱のフタを閉めながら、もう一度丸井君の席を見つめて、イチゴみたいなふわふわの赤い彼の髪を思い出していた。










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