「ハッピーメリークリスマース!」
パンッ、と部屋の中にクラッカーの音が鳴り響く。僅かな火薬のにおいが鼻を刺激して、頭の上で手を左右に振った。
高く掲げたグラスにはなみなみとオレンジジュースが注がれ、零れそうになっている。
今までの生徒会と、オレと安形が引退したあとの生徒会。有り難いことに椿ちゃんからお呼びがかかったオレ達は、少々窮屈に感じるこの部屋で楽しんでいた。
新旧生徒会で
「誘ってくれてありがとうね、椿ちゃん」
「いえ。こちらこそ、お二人とも来てくれてありがとうございます」
乾杯をしてから各々散らばり出し、デスクに並べられたポテトチップスやら何やらを摘んでいる間、少し椿ちゃんと言葉を交わす。
「もうクリスマスかぁ…早いなあ」
「そうですね、もう年末です」
「何事もないといいんだけど」
はい、と椿ちゃんが頷いたところで、オレにはあまり馴染みのない凛々しい声と可愛らしい声が聞こえてきた。そのすぐ後に、いつも聞いていたそれも耳に入ってくる。
「会長!何をお召し上がりになりますか!」
「エクレアが美味しいですと伝えてください」
「金箔をふんだんにあしらったミニケーキも美味しいですよ」
「キリ、コーラをとってくれ」
「オレに命令するな!」
「キリ!先輩になんてこと言うんだ」
「すみません会長!」
なんだか騒がしいなあ。
そう思いながら横を向くと、椿ちゃんのがため息をついていて、その横顔は心なしか楽しそうだった。
椿ちゃんに代わって、いつの間にか隣には安形が立ち見守るような視線で彼らを眺めている。
「うるさいのもいいもんだよな」
「…オレのコスプレは落選ですか」
「いや、どっちも好きだけど」
そう言ってぐび、とサイダーを煽る安形の喉元に思わず見惚れ、唾を飲んでいた。こちらを見て笑った安形から目を逸らして、オレも手に持っていたオレンジジュースを煽る。
「まあ、今の生徒会も上手くいってるみたいでよかったな」
「うん、安泰だ」
二人してそう微笑み、もう一度オレ達が抜けた生徒会のみんなを眺めた。
「ミチルさん、安形さんもこちらに来てお話しましょう」
ミモリンがそう言って、頬が緩む。残り一口のオレンジ色の液体を口に含み、デスクへ歩いた。
end
新旧でいこう!と思いましたが中々思い通りにはいかず。
クリスマスに見えない話になってしまいました。
そしてカオス。誰が誰だかわからない状態に。
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