「ここが複数系やからこっちにもsがつくねん」
「んー、ん?」
「えっとな、つまり・・・」
「ちょっと待って白石君」
「どないしたんや名前」
前回の英語のテストでみごと赤点をたたき出した私は、テニス部が休みだって言うから、放課後白石君に教えてもらってるわけです。全然成長しない私の英語力にも呆れず根気よく教えてくれる白石君。非常に有り難い。だけどね、
「近くないかな?」
「え?」
「だから、距離。近いよね?」
「何言ってるん!これが普通やん!ノーマルやん!」
「白石君のノーマルがわかんない」
「ええええ!・・・しゃあないな、俺が教えたるわ」
急にセクシーモードになった白石君にちょっとたじろぐ。うん、やっぱり声と顔だけはイケメンだ。
「いや、そういう問題じゃないよ」
「なんや、やっぱりつれへんな〜」
まあ、そういう所がいいんやけどなあ。なんてボソボソ言ってる白石君は置いといて、英語しなきゃ。
「白石くんここわかんない」
「ん?ここ?ここも複数系やからこうなるんやで。名前複数系の問題苦手やな。よし、じゃあここ集中的にやるか」
私のために説明してくれてるけど、全然頭に入ってこない。自分の英語への興味のなさに呆れる。白石君まつげ長いなあ。てか、やっぱり髪染めてるよね。
「なんやけど、わかる?」
「っ!?」
ビ、ビックリした。白石君がいきなり顔をあげるから急に顔が近くに。
「ん?名前顔赤いで?大丈夫か?疲れたんならちょっと休もか?」
「う、ううん。大丈夫!ちょっとボーッとしてただけ」
やばい、なんか動機が止まらない。なんだこれ、なんなんだこれは。いっつも、くっついてくる白石君なのに、今日は真面目だし。調子狂うというか。
「いやちょっと一気にやりすぎたし、俺も疲れたから休もか」
「あ、う、うん!じゃあちょっと休む!」
「ふう、」
「あ!白石君、飴あるけどいる?」
「おお!ありがとう」
「いいよ、教えてくれたお礼」
そういってポンと飴を白石君の手の上に置くと、え!って顔された。え?なに、もしかしてイチゴ味嫌いだったかな。
「あかん!」
「え!イチゴ味だめだった?」
「そうじゃなくて、お礼は飴じゃなくて、もっとこう、他にあるやん!」
「へ?」
近づいてくる白石君。あ、これは危ない。いつもの変態白石君だ!
「白石君、英語しなきゃ」
「ええええ!名前ひどい!俺教えてあげたやん!」
「飴あげたじゃん!」
「飴じゃ嫌や!」
「意味がわかんない!」
ニヤニヤして近づいてくる白石君はやっぱりいつもの白石君だ。来るな来るな言って逃げてたらたまたま通り掛かった謙也が白石君をズルズル連れてってくれたおかげで助かった。ナイス謙也!
近づかないでください移ります変態が