悲劇はある日突然に


「ワイタコ焼き食べたいー!」

「しゃあないな、帰りにみんなで食いに行こか」

「なんか、みんなでとか久しぶりだね」

「最近部活忙しかったからなあ」

「楽しみだね、奈々ちゃん!」



本当に突然やった。



「ごめんなさい、私今日早く帰らなきゃいけないんです」

「え、そうなの!?」

「しゃーないな、送ってったるわ」

「え、い、いやいいよ!光君に悪いし。近いから大丈夫やって!」



今思えばあの時の桜井は確かにちょっと不自然やった。まあ、そんな少しの変化に俺らが気づくわけなんかなくて、俺は桜井行けなくて残念やったななんて謙也が財前にちょっかい出しとるの見て笑ってるだけやった。




――――――――――




「タコ焼きうまかったわー!」

「よかったね、金ちゃん」

「うん!」

「いや、良くないわ!俺1個しか食べてへんのんやけど!」

「謙也さんが鈍臭いからっスわ」



俺は相変わらず場所を考えずにワイワイするみんなを見ながらボーッとしとった。



「   っ!?」



そしたら、見てしまったんや。



「どうしたの?白石」

「 え、あ、いや」


「え、あれ桜井とちゃう?」



他校の男と腕を組んで歩く桜井の姿を。








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