大好きな大好きな先輩
「ん・・・せ、んぱい?」
朝起きたら隣に先輩がいなかった。
なんで?昨日夜来てくれたのに。なんでなんでなんでなんで。名前先輩、先輩が隣にいないと俺は崩れていってしまう。
ああ、俺の足は地についてる?俺は呼吸してる?俺の心臓は鼓動してる?わからない、わからんよ名前先輩。
「やっ、名前せんぱい!ど、こや」
「光?起きたの?」
「よ、かった」
キッチンから顔を出す名前先輩を見て、さっきまでの不安な気持ちが一気に吹き飛ぶ。
よかった、本当によかった。安心感から涙が溢れ出す。先輩に駆け寄って俺よりちょっと小さい先輩の肩に顔を埋めた。嗚咽が止まらない俺を先輩は優しく撫でてくれる。
「どうしたの?」
「いなく、なっちゃたかと、思った」
「ふふっ、大丈夫だよ。ずっと光の側にいるよ」
「よかった、 先輩、すき?」
「うん、大好きだよ」
「俺もっ」
「ありがとう」
名前先輩の声を聞くと、好きっていってくれるとそれだけで心が落ち着く。
好き?と聞くと、大好きって返してくれる。まるで俺は一人やないっていってくれてるみたいに。それが本当に安心感を与えてくれて。先輩に好きって言ってもらうために俺は生きてる、好きって言ってくれるから俺は生きてる。そう言っても間違いじゃないと思う。
「光、朝ごはん食べて学校行かなきゃ」
「 うん」
「じゃあ準備するから、ちょっと待っててね」
「やっ、行かんといて!」
「大丈夫すぐ戻るよ」
「っやだ!」
「 光」
名前先輩が困った顔で俺の名前を呼ぶ。それだけでビクって震える俺の体。やだ、名前先輩に嫌われる。そう考えるだけで体の震えが止まらない。足だってガクガクしてる。俺は悪い子だから。ちゃんと言うこと聞かないと先輩に嫌われてしまう。
「わかりま、した」
一回先輩をぎゅっと強く抱きしめて、先輩から離れた。ちょっと呼吸がしずらい。
ふわっ
そんな時に体に感じる優しい温もり。
「光、言い忘れてた」
「え?」
「 おはよう」
「っ! おはよう、ございますっ」
先輩の優しい声と温もり。それを感じて体の震えも治まってくる。大好き大好き大好き。堪えきれなくて思わず先輩にぎゅーと抱き着く。先輩はもー、と言いながらその声は優しい。
「先輩、好きっす」
「ありがとう、私もだよ」
ああ、先輩は俺のもんや。俺だけのもんや。誰にも渡さん。そう思って抱いている腕に力を込めた。
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