真夜中の相談会


「ごめんね、毎回毎回。さすがに家具は私の力じゃ直せないからさ」

「全然ええって!名前が気にすることじゃあらへん」

「 ありがとう」



名前からベッドに寝てる財前に目を移す。

こうやって夜中に名前から電話がかかってくることはもはや珍しくなくなった。3日に1度、最近じゃ1日おきにこうやって呼び出される。もちろん、財前の家に。



「また、やったんか」

「 うん」

「はあ、なんで・・・」

「ごめん、私がもっと早く来てたら」

「名前のせいじゃない、あんまり考えすぎんな」

「  ありがとう」



なんでこんなことになってしまったんや。いつからこういう風になってしまったんや。

こうやって夜財前の部屋を片付けることしかできない自分に腹が立つ。名前は毎日財前に付きっ切りで財前を支えてるのに俺はなにもできん。思わずに拳が入る。



「明日は部活休ませた方がいいかも」

「そやな、白石に言っとかなあかんな。明日は俺も部活休んで財前のとこおるわ」

「ダメ!もうすぐ地区大会始まるんだよ?部活休んでる場合じゃないでしょ?みんなのサポートはできないけど光には私がついてるから」

「あかんって!名前最近ちゃんと寝てないやろ。無理したらあかんで」

「私は大丈夫だよ。それに今は私なんかより光の心配をしてあげて」

「でも!「いいんだよ、私のことは。」 」

「名前・・・、もう気にしたらあかんて」

「 そういうわけにはいかないよ」



「光がこうなったのは、私のせいなんだから」



違う、違うで名前。財前がこうなったのは名前のせいちゃう。財前がこうなったのは俺らみんなのせいや。仲間なんやから一人で抱え込んだらあかん。

そう言いたかったけど、名前の目があまりにも悲しすぎて、それで力強くてなんかあったら言うんやでと、ありきたりのことしか言えんかった。



「謙也、明日朝練だよね。夜中に呼び出しちゃってごめん。」

「おん、全然ええって。気にせんとき。じゃあそろそろ帰るな。名前は泊まるんやろ?」

「うん、」

「わかった、ほなまた明日な」

「うん、おやすみ」



財前の家を出てからすぐに家に帰らずに近くにある公園に寄って、ポツンと公園のはじにあるベンチに座った。



「 どうしたらいいんやっ」



いくら考えても答えは出てこない。

財前は必死に自分と戦ってる。名前はそんな財前を自分を犠牲にしてまで支えとる。

じゃあ俺は?俺は何をしてる?財前を、仲間を支えるために何ができる?



「くそっ」



何も出来ない。俺が無力だってことを実感するだけ。その夜、仲間のためにできることを、留めなく流れる涙を止める方法を、俺には見つけることができんかった。








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