「遊園地だ!何乗る?ねえ、何乗る!?」
「さっきまで行きたくないって駄々こねてたのは誰じゃったかのう」
「本当だぜぃ。まじ信じらんねぇ」
「二人とも遅い!早く!」
さっきまでテンション下がったてたのに、遊園地が近づいた頃から俺らよりテンション上がってきた名前。本当現金としか言いようがない。俺もそれなりに楽しみだったはずなんじゃけど、こいつのテンションは負けるぜよ。
「仁王ー!おーそーいー!」
「仁王遅せぇよ!早く来いよ!」
ブンちゃんもテンションがだいぶ上がってきたみたいで、少し離れた二人が俺の名前を大きい声で呼んでくる。あーあ、周りの人が見てるのに何やってくれるんじゃ。仕方ないから少し小走りする。
「ちょ、恥ずかしいからやめんしゃい!」
「早く来ないから悪いんだぜ!」
「そうだそうだ!」
「珍しく名前がブンちゃんの味方じゃのう」
「だって早く乗り物乗りたいもん!」
「何言ってんだよ!最初は飯だろぃ!?」
「ええええ!お腹減ってない!乗り物乗りたい!」
「我が儘言うなよぃ!」
「それは丸井の方でしょ!?」
毎回毎回ギャーギャーようやるのう。なんでこんな二人が一緒に住めているのか謎じゃ。一緒に住むっていうよりブンちゃんが勝手に居座ってるって方が正しいかもしれん。喧嘩するほど仲がいいってやつか。 ただ、こうなると二人とも譲らないからめんどくさい。俺としてはどっちでもいいんじゃが。
「俺も腹減ったなり」
「 よし!ご飯食べに行こう!」
「はあ?お前さっきと言ってること違うじゃねぇか!」
「いいの。ほら、行くよ!」
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「うまかったー!」
「おいしかったー!」
「単純なり」
「よし!ジェットコースター乗ろうぜぃ!」
「さっき食べたばっかりだよ?吐くって!」
「じゃあバイキング!」
「んー、いいね。バイキング行こう!」
「おう!ほら仁王行くぜぃ!」
「プリッ」
「ねえ、あの二人超かっこよくない!?」
「え!やばいかっこよすぎだって!話し掛けちゃおうよ!」
「でもなんか女いるけど」
「嘘!? 何であんな平凡な女が一緒にいるのよ!大丈夫だって、うちらのが余裕で勝ってるって!」
さっきからあそこの女二人が俺ら見てヒソヒソ話しとる。ブンちゃんと名前は全然気づいてないみたいだけど。というか、あれでヒソヒソ話してるつもりなんか。話丸聞こえ。しかもかなり癪に障る話じゃ。 まあ、自分で言うのもあれだが俺らは女子にモテる。容姿もそれなりだしテニスも強いからの。別に騒がれることに俺らはもう慣れたけど、やっぱり矛先が向くのは#名前で#。
「ねえ、あなたたち!私たちと一緒に遊ばない?」
「はあ?誰だよお前ら」
「ちょ、丸井。口悪いよ」
「あなたには言ってないから黙っててくれない?てか、なんであなたみたいな人が彼等と一緒にいるの?どんな関係?まさか付き合ってはないでしょ?邪魔だから帰ってくれない?」
「いや、私たちは「黙りんしゃい。お前らこそ邪魔なんじゃ」ちょっと、仁王!」
「そうそう。俺らせっかく楽しんでんのに話しかけないでくれねぇ?テンション下がんだけど」
こういったことは今までなかったわけじゃない。その度に名前は気まずそうな顔をする。そして、俺らはそういう顔をさせた女達のことを許さん。
「ちょ、ひどい!せっかく誘ってるのに!そんな女より私たちと遊んだ方が楽しいよ?」
「うるせぇ。お前らと遊ぶなら帰った方がましだよ。失せろよぃ」
「っ、ひどい!」
「ちょっと二人ともあんな言い方しなくても」
「名前は優しすぎるんじゃ」
「そうじゃないし。そんなの関係ないよ」
「悪口言われたんだから怒ってもいいだろぃってこと!」
「だって、本当のこ「それ以上言ったらまじで怒るぜ」 ごめん」
俺らと仲良くなったときから名前は自分に自信がないのか結構ネガティブじゃ。昔はそんなことなかったけど、ある事件の後から得に、だと思う。まあ、その話は今度。普段はめったに口にはしないんじゃが、こういことがあると思わず口に出るみたいじゃ。
「さっきのことは気にせんと、遊ぶぜよ」
「 そうだね!」
「いこうぜ!」
ポン
「もっと自信持ちんしゃい。俺らは名前が好きだから一緒にいるんじゃ」
「 っ、ありがとう」
頭に手を置いてそういえば、ちょっと照れ臭そうに笑った。大丈夫、名前の笑顔は俺らが守るぜよ。
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