「やだ」
「なんでだよぃ!せっかく部活休みなんだからいいじゃんかよ!」
「やだ。寒い」
「晴れてるから大丈夫だって!」
「いや!」
「こら!布団に入るな! しかたない、仁王行け!」
「行かないんか?」
「うっ 」
なんでだ。なんでこうなってしまったんだ。目の前にはいつもの制服でもなく立海ジャージでもなく私服でハリキリ気味の丸井と瞳をうるうるさせた仁王(絶対私が仁王のその目に弱いこと知っててやってる)そして、パジャマで布団の中に篭っている私。ついさっきのチャイムから全然状況についていけない私。
さかのぼること数分前。
――――ピンポーン
「んー 」
誰だ。こんな朝早くに、と思って時間を確認したらなんともう11時だった。まじか。せっかくの休日なのに時間を無駄にしてしまった。だからといって布団から出る気はないんだけど。だって寒いし。どうせセールスとかでしょ。
床を見ればいつも通り赤が、あれ?いない。床に転がっているはずの丸井がいない。
「よう!いつまで寝てんだよぃ」
「え、なに・・・なんで仁王?」
「ブンちゃん言ってなかったんか?」
「え、俺言ったぜ!」
「なにを。何も聞いてないよ」
「ブンちゃん」
「わ、悪い悪い!まあ、いいじゃんか!早く準備しろよ!」
「どっか行くの?」
「遊園地に決まってんだろぃ!」
「え ?」
と、言うわけで今に至る。いや、意味がわからない。
「せっかく休みなんじゃき、遊園地・・・」
「うぅ 」
「仁王あと一息だ!」
「遊園地 」
「だあー!わかったわかったから。行けばいいんでしょ行けば!」
結局仁王に弱い私はあんな目で誘われて断れるわけなくて、しぶしぶ布団から出る。隣で、よくやった仁王!なんて言ってる丸井の頭をとりあえず一発叩いて準備にかかる。なんか丸井がいってるけど無視の方向で。
「名前!まだかよぃ!」
「女の子は時間がかかるんです!」
「ぷぷっ、女の子って」
「おい、こら丸井。殴られたいならこっちに来なさい」
「ブンちゃんそうせかさかすんじゃなか。元はといえばブンちゃんが言い忘れたのが悪いんじゃき」
「そうだ!そうだ!」
「忘れてたんだからしかたないだろぃ!」
「開き直らないで下さい。よし!準備できた」
「じゃあ行くかのう」
「ちょうど12時だし、向こう着いたら飯食おうぜ!」
「丸井の頭はご飯のことばっかりだね」
「うるせー!腹減ってんだよ!」
「早く、遊園地」
「え、まさかの仁王がワクワクしてる」
「だって、仁王が提案したんだぜぃ!遊園地行きたいって!」
「えええ!そうなの?」
「うん」
なんだそのギャップ萌え。もはや狙ってるよね?狙ってるよね?まあ、かわいいんだけどね。
「きゅん」
「何言ってんだ、お前」
「丸井うるさい」
「はあ?うるさいってお前」
「仁王、かわいいよ仁王」
「無視すんなよぃ!」
「プリ」
なんかバラバラな3人。大丈夫かな、遊園地。きっと2人は自由勝手やるんだろうな、そしてそれを私がまとめるのか。なんか嫌な予感しかしない。憂鬱だ。
「遊園地、遊園地」
でも、ノリノリの仁王を見たらもう何も言えなくなった。何も起きないことを祈ろう。どうなる、遊園地。
|