「名前ーひまー」
「今自習中なんだから、静かに勉強しなよ」
「無理、名前やってくれよぃ」
「なんで私がやらなきゃいけないの」
なんで、家でも一緒にいる丸井と学校まで同じクラスでしかも隣の席にならなきゃいけないんだろうか。くそう、あの担任席替え早くしてよ。
「名前、俺の課題もやってくれんかの」
「全然やるよ、仁王!」
「おいおい、おかしいだろぃ!なんで仁王のはやって俺のはやってくれないんだよ!」
「だって、仁王だもん」
「わけわかんねぇよ!てか、仁王の席あそこだろ!大人しく座っとけよ」
と、言いながら私の前の前の席を指差す丸井。
「ブンちゃんは冷たいのう」
「そうだよ、丸井ひどい」
「いやいや、むしろお前らのが冷たいだろぃ!」
「知らないよー」
「すまんの、ブンちゃん」
「ええええええ!!」
結局二人の課題を手伝ってあげて(仁王のはほとんど私がやった、丸井のはほとんど丸井がやった)あっという間に昼休み。
「あ!今日はジャッカルと学食行く約束してんだ!」
「だから、お弁当いらなかったのか」
「おう、じゃあ今日は仁王と二人で食えよな!」
「うん。またジャッカル君に奢らせたらダメだよ」
「わかってるって!じゃあな!」
いつもは自分のお弁当を作るついでに丸井のお弁当も作ってる。でも、昨日明日はお弁当いらないって言われたから、自分のお弁当も作るのめんどくさくなって結局今日は購買のパン。
「ブンちゃんもせわしないのう」
「仁王!丸井のやつ絶対またジャッカル君に奢らせる気だよ。かわいそうに、ジャッカル君」
「名前は優しいのう」
「な、なにそれ。てか、ブンちゃんって最近流行ってるの?」
「うん、かわいいじゃろ」
「確かにかわいいね。私も呼んでみようかな」
「絶対びっくりするから、言ってみんしゃい」
仁王が丸井の席に来て、二人でご飯を食べる。仁王は好き。もちろん友達としてだし、丸井のことも好きだけど。仁王はなんか好き。波長が合う感じ。たまにフラフラっといなくなったりするし、でもすぐ戻ってきて笑いかけてきてくれたりする。
「それにしても、ブンちゃんもだいぶ名前に懐いたのう」
「自分で言うのも変だけど、確かにね。なんで私の家に居座ってるのかは謎だけど」
「ずるいなり、俺のが先に名前と仲良くなったのに」
「仁王っ!」
かわいい、かわいすぎる!耳が見えるよ。垂れ下がってしょんぼりした耳が見える!なんか仁王の行動はいちいち私の萌えゾーンにストライクなのだ。
「大丈夫だよ。仁王好きだよ」
「名前!」
そういって仁王の頭を撫でてみればぱあって効果音が聞こえるくらいに笑顔になった。くそう、かわいすぎる。
「じゃあ、俺も名前の家に住む」
「え!それは、ちょっと」
「 ダメなんか?」
「いや、仁王は自宅生でしょ?」
「そうだけど、ブンちゃんばっかりじゃ!」
「そ、それは、うーんごめんね。それにうちもそんなに広くないからもう住めないよ」
「 そうか」
「なんかごめん」
「気にせんで。ブンちゃんはずるいと思うけど俺は名前とブンちゃんが仲良くなってくれて嬉しいなり」
ちょっと複雑な表情をする仁王を抱きしめたい衝動にかられるのをがんばって押さえる。
「名前ー!次の理科の宿題忘れたから見せてくれよぃ!」
「うん、とりあえず君は出ていこうか」
「なんでだよぃ!」
「くくっ。やっぱり俺はこの3人でおるのが好きじゃ」
「ふふっ。うん、そうだね」
「なんの話だよ!」
「丸井には関係ない話ー」
「なんだよそれ!」
仁王と二人でのんびりするのも好きだけど、やっぱり丸井がいて3人でわちゃわちゃやってる時間も好きだ。ありがとう、二人とも。口にだしては絶対言わないけどね。調子乗るから。
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