「んー! ふう」
時計を見ればぴったり7時。よし、と気合いを入れて布団から出ようと思うけど、さ、寒い!寒すぎる!ふとコタツの方を見ればコタツに足だけつっこんで、毛布に包まっている赤髪。毛布一枚だけで寒くないのかと毎日思うけど、わが家にはベッド一つしかないし、だからといって一緒のベッドで寝る気はさらさらない。
「起きよう。丸井ー!朝だよー!」
「んー 」
ベッドから出つつ丸井に声をかけてみるけど、全然起きない。うん、わかってたけどね。丸井は時間ギリギリにならないと絶対起きない。しかも目覚ましじゃ起きれない。今日は朝練ないから遅い方だけど、朝練の日は私もいつもより早く起きる。だって丸井が朝練に遅れたら私が怒られるもん、幸村に。理不尽だ!
「丸井ー、朝ごはんはー?」
「んー ・・・いら、ねえ」
「了解」
今日はコンビニ寄ってから学校だな。丸井が朝ごはん食べないなんてありえない。家で食べれないときは(私は毎日食べてるけど)絶対コンビニ寄って学校で食べてる。
ご飯食べて、髪をセットして、軽く化粧をして、よし、そろそろ起こさないと遅刻する。
「丸井ー!もう8時になるよー!起きてるー?」
「えー、起きて、るよぃ」
「起きて準備しなきゃ、置いていくよ」
「ちょ、今起きる!」
一回起きると完全に目が覚めるみたい。そこまでが長いんだけどね。
「名前!俺のワックスは!?」
「あー、棚にしまったよ」
「あー!髪がなおらねぇ!」
「あと5分したら出るよ」
「え!無理無理!ちょっと待てよぃ!」
「嫌だよ、普通に置いていくからね」
「はあ!?裏切りだぜぃ、裏切り!」
「いいよ、遅刻するならあっさり裏切ってやる!しゃべる暇があるなら、急ぎなよ。コンビニ寄るんでしょ?」
「おう・・・あああ!もういいや!出れるぜぃ!」
「よし、行こう!」
「あ!教科書忘れた!ちょっと待ってろぃ!」
「数学でしょ?もうカバンに入れてあるから」
「まじ!?さんきゅ!」
毎朝のことだけど慌ただしいな。本当丸井は私がいなかったら確実に留年だよ。もっと感謝してほしいよね!
「よし!朝ごはんも買えたし、余裕だろぃ」
「よかったね、こっちは朝からくたくただよ」
「毎朝サンキューな。ん、」
「え、なに?」
「シュークリーム、好きだろぃ?」
「ま、丸井!!丸井好き!」
「現金すぎるだろぃ」
シュークリームを頬張りながら学校に向かう。歩きながら食うなよぃ、なんてブ太はほっといて、シュークリームおいしー。
「なあ、数学の宿題見せてくれよぃ!」
「んー、いいよー・・・って、え!!」
「今いいって言ったからな!」
ニヤリと笑う丸井を見てやられたと気づいた。こいつ!このためのシュークリームか!ふっ、いいさ一つ前の宿題を見せてやろう。多分丸井は気づかないだろうし。
「ちょ!名前まじひどすぎだろぃ!」
「宿題やってないブンちゃんが悪いなり」
「そうだそうだ!」
「仁王だってやってないだろぃ!?なんで仁王には普通に見せてんだよぃ!」
「仁王はいいんだよ」
「んー、名前好きなり!」
「に、仁王!!私も好きだよ!」
「まじなんなんだよぃ」
もちろん丸井が怒られたのは言うまでもない。やってないほうが悪いんだよ。あ、仁王はいいの。だって仁王だからね!
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