「丸井いいいいいい!!」

「ん・・・なんだ、よぃ」

「いっつもお菓子のかすを散らかさないでっていってるでしょ!!」

「あとから片付けようと、思ったんだよぃ」

「それはあとから片付けない人が言う台詞です」


私の家に居座ってる丸井くん。一人暮らし中の彼にはちゃんと家があるはずなのになぜか居座ってる丸井くん。

私が寒い中買い物から帰ると、丸井はさっき食べたであろうお菓子のかすを床に散らかしてコタツで寝ていた。


「今から片付けるよぃ」

「ごみはごみ箱へ。これが苗字家ルール」

「はいはい」


寝起きである彼はゆっくりとごみを集めはじめる。
はあ、と軽くため息をついてから私は夜ご飯の用意にかかる。


「名前ー!今日のご飯は!?」

「今日はモツ鍋だよ」

「まじ!?やったー!モツ鍋、モツ鍋!」


片付けが終わって、こっちに駆け寄ってきたご飯のことになると異様な素早さを見せる彼は、コタツの上にコンロをセットしている。
モツ鍋と聞いた丸井の笑顔が眩しい。うっとうしいくらい笑顔が眩しいよ。


「名前ー!まだー?」

「はいはい、今行く」

「早く!早く!」

「さっきお菓子食べてたでしょ?」

「あんなん腹の足しにもならないだろぃ!?」

「 丸井の胃袋が恐ろしいよ」


二人でコタツに入っててぐだぐだしているうちに鍋が炊けて、丸井と自分のお皿に装うと丸井の笑顔がさらに輝いた。


「いただきまーす!」

「ん、どうぞ」


「 うま!やっぱり冬は鍋だよな!」

「確かにね、もう外寒すぎるし。ああ、外出たくないー。ずっと家にいたいー。学校行きたくない」

「おいおい、引きこもり発言やめろよぃ」

「だってー」

「あと二日で休みだろぃ?」

「そうだけど、その二日が長いんだよ」

「そんくらいがんはれよぃ」

「もう無理です」


そんな実りのない話をしながらも、鍋をちゃくちゃくと食べていく。丸井とご飯を食べるようになってから、食べるスピードが確実にあがった。なぜなら、早く食べないと丸井に全部食べられてしまうから。


「あ!最後の肉とるなよ!」

「早いもの勝ちですー」

「もう白菜しか残ってねーじゃん!」

「丸井が肉ばっかり食べるからでしょ?」

「ええー」


あーだこーだ言いながらもぺろりと鍋を食べ終わって、ちゃっかりしめにラーメンまで食べてお腹いっぱい。ごちそうさまでした。


「よし!ちゃっちゃと洗っちゃいましょう!」

「なにその赤也のマネ」

「ばれた?」

「逆にばれないと思えたことがすごいよ」


洗い物は丸井の役目。私がやってって言ったわけじゃないけど、居座ってることを少しは悪いと思っているのか彼は毎日洗い物をしてくれる。
悪いと思ってるなら帰れよ、と思うけどそれを口に出さないのは、私が丸井との生活を少しは気に入ってるからなのかもしれない。


「いつもありがとう」

「なんだよぃ、急に。きもいぜ?」

「 もう、知らない!」

「え!本当に急になんなんだよぃ!」


やっぱりお前は家へ帰れ!






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