「頼む、仁王!」
「仁王、お願い」
「なんなんじゃ、お前ら」
「「数学教えてください!!」」
なぜ必死に仁王に数学教えてと頼んでいるかというと、もちろん期末テストが近いからで。私は勉強自体苦手なわけじゃないけど、数学はどうしても無理。 私は宿題はするけど、勉強ができるわけじゃない。仁王は宿題とかは自分でやらないくせに何気に勉強できるからずるい。
「頼むぜ仁王!明後日のテストやばいんだって!」
「めんどくさいぜよ」
「お願い!今日夜ご飯奢るから!」
ぴくりと仁王の肩が動いたとともに、丸井の顔がにやにやと悪い顔に変わり、名前!あとちょっとだ!なんてボソッと私に言ってきた。うん、君絶対私に頼ませて自分も教えてもらう気だよね。でも今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
「夜ご飯?」
「うん!どこがいい?サイゼリヤ?マック?」
「ちょ、名前明らかに安いところ選んでるだろぃ!」
「だって、お金ないもん!じゃあ丸井がおごってよ!」
「無理、俺も今お金ないもん」
「じゃあ文句言わない!」
「 ・・・がいい」
「ん?」
「名前がご飯作ってくれるなら教えてもいいぜよ」
「へ?」
「は?」
「そ、そんなことでいいの?」
「うん」
「全然いいよ!じゃあ今日は泊まっていって!ご飯なにがいい?」
「んー、」
なんだ!そんなことでいいならお安いご用だよ。名前の料理食べたかったんじゃなんて言ってる仁王がかわいくてかわいくて優しく頭を撫でれば嬉しそうに笑ってくれた。言ってくれたらいつでも作ってあげたのに。
「ちょ、ちょっとストップ!」
「なんじゃ、ブンちゃん」
「泊まるってことは、寝るとこは?」
「もちろんこたつに決まってるじゃん」
「はあ!?今でも狭いのに仁王来たらもっと狭くなるじゃん!」
「教えてもらうのに文句言わない」
「そうじゃ、そうじゃ。じゃあブンちゃんには教えないなり」
「なんでそうなるんだよぃ!」
「ふんっ」
「ちょ、かわいくねーから!」
「だいたいブンちゃんは帰ればいいじゃろ。いっつもブンちゃんばっかりずるい!」
「意味わかんねー!それとこれとは関係ないだろぃ!」
丸井のわけのわからないことでギャーギャー喧嘩をはじめた二人。まあ、主に丸井がギャーギャー言ってるんだけども。そもそも私の家は丸井の家じゃないから。
「はい、丸井は黙って。文句言わない!」
「えええええ!」
「よし、じゃあ仁王家いこっか!」
「夜ご飯はロールキャベツがいいぜよ」
「いいよ!ロールキャベツね!」
「ちょ、無視すんなよい!」
後ろで騒いでる丸井は完全放置。でもさすがにかわいそうだから、早く来なよって声かけてあげたら超笑顔で駆け寄ってきた。わあ、イケメン。みんなあの笑顔にやられるんだな。
「ちょ、ブンちゃん!」
「なんだよぃ」
「手!!」
「さみーんだもん。別に減るわけじゃないからいいじゃん」
あと、この軽すぎる感じ。嫌いじゃないけどね。もう慣れちゃったし。そんなこんなしてたら反対の手にも温もりを感じた。
「仁王?」
「ブンちゃんがいいなら俺だっていいじゃろ」
「ふふっ、仁王かわいい!」
きっと周りから見たら3人でくっついて手繋いで歩くなんて異様な光景。でも私達にはそんなの関係なくて、やっぱり3人が心地好くて。
「スーパー寄らなきゃ」
「よし!今日は沢山お菓子買うぜぃ!」
「いや、ちゃんと勉強しようね」
「ロールキャベツ楽しみじゃ」
「ちゃんと勉強するよ!」
「わーかってるよぃ!」
きついこと言いながらも顔が緩んでるのがわかった。そして何その変な顔とか言う丸井には一発蹴りを入れてやった。
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