真っ赤なお鼻のトナカイ達
「ちょ、名前!」
「なに、ユウジ」
「お前なに帰ろうとしてんねん!」
放課後、当番の教室掃除も終わって、鞄の準備も完了して、そそくさと帰ろうとしたのに緑のバンダナ野郎にあっさり捕まってしまった。なんで、今日に限ってユウジと掃除当番一緒なんだろ。
「いや、放課後ですよ?今日部活休みですよ?そりゃ帰りますでしょうよ」
「あかんって!今日クリスマスパーティーやって前から言ってるやん!」
「嫌だ、行きたくない」
「あかん!お前が来なくてどないするねん!」
「嫌だ嫌だ!嫌な予感しかしない!今日白石がめっちゃ嫌な笑み浮かべてるの見ちゃったもん!」
「そ、そんなの気のせいや!」
「嘘だ!てか、ユウジが私を誘いに来ること自体怪しい」
「そ、そそそんなことないって!」
「小春ちゃんでしょ?小春ちゃんに頼まれたからでしょ?」
「う、うう」
「絶対嫌だから!」
こいつらとパーティーとか絶対嫌な予感しかしない!新入生歓迎パーティーでは、なぜかナースのコスプレさせられて白石と司会させられたし(ちなみに白石は白衣)。ハロウィンパーティーはミニスカ魔女のコスプレさせられたし。
てか、クリスマスとかもう何させられるか見え見えだよ!それが分かってて誰が行くもんか!
「き、金ちゃん楽しみにしてたなあー」
「 え、金ちゃん?」
「財前もなんだかんだノリノリやしなあ」
「 ざ、ざざ財前が!?」
「お前来んかったらさぞかし悲しむんやろうなあ」
「う、ぐむむ ・・・わかったよ、行くよ」
「よっしゃ!はよ行くで!小春うぅー!」
「はあ」
金ちゃんや財前を出すなんて卑怯だ!だって、あんなにかわいい後輩を泣かすなんて私にはできない!ああああ、もう全てを諦めるしかないか
―――――――
「着いちゃった」
「はよ、入れや!」
「ユウジうるさい」
もう、覚悟を決めるんだ!わたし!
ガチャ
パンパンパーン!
「!?」
「「「「ハッピークリスマス!!」」」」
「え、ええ?」
「もう、名前遅いわあ〜!ワイタコ焼き我慢してたねんで!」
「ご、ごめんね金ちゃん」
「小春うぅー!ちゃんと連れてきたでぇ!」
「キモい一氏触んなや」
「小春うぅうー!?」
「本間遅いで名前。待ちくたびれたわ」
「うん、白石。どこからつっこめばいいのかな」
「ちょ、白石!このトナカイ鼻でかすぎ、って名前来てたんか!」
「謙也はん。似合ってはるで」
「銀それどういう意味「先輩キモいっすわ」ちょ、財前!俺かて着たくて着たわけちゃうし!」
「いや、ノリノリでしたやん」
「ちゃ、ちゃうし!」
「これ、もう食べていいと?」
ドアの向こうはもうゴチャゴチャでした。鼻がやたらでかいトナカイの格好をした謙也。スカートのサンタ服の小春ちゃん。なぜか下がショートパンツのサンタの服を着てる白石。普通にサンタの服を着てるめっっっちゃかわいい後輩組に、なぜかトトロの着ぐるみの千歳。なんでもありですか、このパーティーは。唯一サンタ帽子だけかぶってる銀さん、うんそれが普通だよね。
「よっしゃ!乾杯するで!」
「その前に♪名前ちゃんもこれに着替えてね♪」
「え、い、嫌だ!」
「なんやねん名前ノリ悪いで!」
「先輩往生際悪いっすわ」
「何と言われようと嫌だ!もう先は見えてるんだ!」
「ええ!名前着てくれへんの?」
「うっ、金ちゃん・・・」
「なんなら俺が着替えさせてやってもいいとよ?」
「何いってんねん千歳!ここは部長の俺やろ!」
「お前ら二人して何いってんねん!」
「ははーん、本間は謙也が着替えさせたいんやろ?」
「は!あ、あああほ言うなや!」
「謙也何照れてんのキモい」
「はああ!?て、照れてへんし!」
「名前〜、着替えてえや〜!」
「う、し、仕方ないなあ」
「よっしゃ!よくやった金ちゃん!タコ焼き食べてええで!」
「な!ちょっと、白石!まさか金ちゃんを使ったの!?」
「作戦勝ちや!ほら、早く着替えてきい。いまさら着替えへんなんて聞かへんで」
「あ、あほおおお!」
純粋な金ちゃんを使うなんて!なんてやつだ、白石!
はあ、とため息をつきながら更衣室に向かう私はだいぶみんなから悪影響をうけてしまったんだと思う。もらった服を広げれば、やっぱり超ミニスカのサンタ服。はあ、またため息が一つ漏れる。
でも、きっとみんながいなかったら一人で寂しくクリスマスを過ごしてたんだろうな。こんなクリスマス初めてだから胸がワクワクしてるのも事実だし。ちょっとだけどね!
やっぱり持つべきものは仲
「名前ー!入ってええー!?」
「こらああああ!カーテン開けるなあほおおお!」
「あ、すまん。まだやったんか」
シャッとカーテンを閉じて出ていく白石。最悪最悪最悪!絶対見られた!もう絶対パーティーなんか行かない!
「名前案外胸でかいん「死ね!白石!!」