恋をしている君に


「赤也ぁー!」

「はあ、なんだよ」

「仁王先輩と話しちゃった!」

「うん、そっか」

「なにその反応!薄い!ひどい!」

「しかたねえじゃん。もう仁王先輩の話は飽きたって」

「だってかっこいいんだもん、好きなんだもん!」

「じゃあ告白したらいいじゃん」

「無理だよ!もう赤也は何にもわかってない!」

「知らねえよ!」



うー、と机にうなだれる苗字名前。中学入ってから仁王先輩に一目惚れしたらしく、入学当初から同じクラスで仲のいい俺にいつも相談してくる(相談というか名前が勝手に言ってるだけだけど)1年半ずっと仁王先輩の話されたらさすがに飽きるだろ。



「はあ。で、なんて話したんだよ」

「おはようって!」

「は?」

「え?」

「それだけ?」

「うん、それだけ」

「はあ?なんだよ、そんだけかよ!聞いて損した」

「なんでよ!挨拶されたんだよ!ねえ、赤也聞いてる?」

「はいはい」



正直仁王先輩は女たらしだから名前の恋は報われないと思ってる。女たらしのことは有名でもちろん名前も知ってる。



「名前」

「  わかってるよ。でも、好きなんだもん仕方ないじゃん」

「はあ、お前バカすぎ」

「 うるさいっ」



それでも、名前は仁王先輩が好きだって言う。本当バカじゃねえの。傷つくだけなのに。



「 赤也」

「んー?」

「私、がんばるね」

「 ・・・」

「ダメだったら、慰めてね」

「  しかたねーな!ダメだったら特別に俺の胸をかしてやるよ」


仁王先輩に恋なんかしてるこいつは、相当なバカだ。



「ふふ、ありがとう」



でも、そんなバカなお前に恋してる俺も大バカだな。
(早く気づけよ、そんで俺にしとけ)


- ナノ -