卒業(プラチナペアの場合)


「常勝!」

「「「「立海!!」」」」


「先輩卒業おめでとうございます!」

「ははっ、ありがとな」




卒業式は思ったよりあっという間だった。
その後のテニス部の紅白試合でブン太の後ろで一緒に試合することも。最後の幸村のあいさつも。
赤也が号泣してること以外毎日してた部活とあまり変わらない気がして卒業なんて実感はゼロに近い。




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「じゃあジャッカルもまたのう」

「おう」



みんなで一緒帰る帰り道だって、明日また一緒に通れる気がして。



「みんな帰っちまったな」

「  そうだな、」

「なあ、ブン「あ!ジャッカルゲーセン行こうぜぃ!」 はあ?」

「今無性にゲーセン行きたい気分なんだよぃ!」

「はあ、しかたねぇな」

「もちろんジャッカルの奢りな!」

「は、またかよ!」





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「あー!楽しかった!!」

「こっちは散々だぜ」

「じゃあ次はマックな!」

「まだ行くのかよ!」




―――――――――――



いつも行ってたラーメン屋、CDショップ、ゲームショップ、結局いつものようにブン太に振り回されていろんな所を回った。
もう日も暮れかけてきた頃、よく来た河原を通ってついた場所は、




「、ブン太?」

「なあ、ちょっとだけ打っていこうぜぃ!」





いつも二人で練習したテニスコートだった。




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「はっはっ、ブン太もうやめようぜ」



もうどのくらい打ち合ったんだろうか。3年間もダブルス組んでたんだから、お互いがどこに打つかなんかすぐわかるわけで、勝負はなかなかつかない。





「はあ、はあ、何いってんだよぃ!勝負はこれからだろぃ!」




どうしたんだよ、ブン太。いっつも疲れたって先に止めるのはお前だろ。




「もう日暮れちまったじゃねえか」

「ライトつくから大丈夫だって」

「それでも、「だって!!」、!」






「だって、



 もう、毎日一緒にはいられないんだぜぃ」






『ジャッカル、高校でもダブルス組もうぜぃ!』

『 そのことなんだけどよ、』

『なんだよぃ!俺じゃ不満なのかよぃ!』

『俺、高校には行けねぇんだ』



『    は?』



『親父が病気しちまってよ。家、手伝わなきゃいけねぇんだ』

『  き、聞いてないぜ、俺』

『すまねぇ。急に決まっちまってさ。俺も高校行きたかったんだけどよ』

『   っ』

『ブン太?』





『  ・・・そっか!それは仕方ねぇな!親父さんちゃんと支えてやんないとだぜぃ!』

『すまねぇ』

『ジャッカルが謝ることじゃねぇだろぃ!?』






「   っ、ブン太」



卒業、なんだ。
一気に卒業という実感が俺にのしかかってくる。




「  一人じゃ、俺どうやってテニスすればいいんだよぃ」

「すまねぇな、」

「   っ」

「本当にすまねぇ。」




「ごめん、ジャッカル。こんなこと言ってもどうにもならねぇのにな」

「  ・・・」

「たまには一緒に遊ぼうぜぃ」

「 っ、おう」

「   テニスだって、また、一緒にっやろうな、」

「 あた、り前っだろ」

「泣くなよぃっ」




いっつも我が儘言ってて、なんでも俺に押し付けてきて。
それでも、ブン太はいつも俺より大人だった。
試合でミスしたって絶対泣いたりしないで、ニコニコしながら次がんばろうぜぃ!って言ってきた。




「ブン太こそっ」

「うるせ、よぃ」


そんなブン太が俺は大好きで、安心できて。そんなブン太とだからここまでやってこれたんだ。






「俺ら、ずっと、プラチナペアだよな」







「っ、当たり前だろぃ!」




俺らはいつものようにラケットを合わせた。


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