仁王家
※息子の名前は朔で固定です



「おかあさーん」

「ん、どうしたの?」

「お風呂溢れてる!」

「え、嘘!」



パタパタとお風呂に走っていく俺のかわいい嫁。自分でもビックリするくらい嫁にべた惚れな俺。数年前に結婚して息子も生まれて、本当俺は幸せ者なり。



「こら、朔!お風呂溢れてなかったじゃない!」

「プリッ」

「お父さんの真似しないの!雅治もなんとか言ってよ」

「ピヨッ」

「もう、絶対雅治には似てほしくなかったのに」

「俺の息子っていう何よりの証拠なり」

「そうだけど」

「ごめん、なさい」

「わっ、もうしかたないなあ」



朔は絶対わかってる。しょんぼりして抱き着いたら絶対許してもらえることを。だって俺の息子じゃき。性格が完全に俺に似てしまった我が息子はすぐペテンをかけてくるようになってきた。もちろん俺が騙されるわけないけど、あいつはすぐ騙される。何年俺と一緒にいたんじゃ、全く。



「こら、朔離れんしゃい」

「雅治、いつまでも子供に嫉妬しないでよ」

「えっ、嫌じゃ。朔早く離れんしゃい」

「いや!」

「嫌じゃないなり!」

「わあ!もう雅治まで抱き着かないで!」

「なんじゃ、朔はよくて俺はいけんのんか?」

「そういう問題じゃないでしょ!二人とも離れて!」

「嫌じゃ嫌じゃ!」

「いや!」

「うちには何人子供がいるのよ」

「「プピーナ」」

「こら!!」


「これは、やばいなり。朔逃げるんじゃ!」

「ラジャ!」


「待ちなさい、二人とも!」


「「プリッ」」



結んだ髪の毛を揺らしながら逃げる俺と朔。プリプリ怒りながら追っかけて来る大事な嫁さん。
うん、やっぱり俺は幸せなり。