六周年質問企画
天狗「あーないない。ほっといてもむかつくだけだから、もうとにかくさっさと済まそうと思って、山まで送ったらさ、こいつの仲間も皆そんな感じだった。鞍馬っつったら天狗の一大ブランドみたいなもんだから、余計なんだよなあ。別にそんなのいらねえだろ、っていうくらい着飾って気取って、オレのこと田舎の山猿って馬鹿にして。もう二度と会いたくない……」
ライ「お前も充分マイペースの塊だけど、その更に上を余裕でかっ飛ぶような奴だなあ」
天狗「かっ飛ぶどころか、ありゃ生来の気質だよ。だからいけ好かないの。やたらプライドは高いから、本当にめんどくさい……」
嵐「話してみれば、お前と結構いい友達になれそうだが」
天狗「じゃあ、お前の家に呼んでやろうか。オレ逃げるよ」
嵐「俺を巻き添えにするな」
アス「天狗に女はいるの?、っていうのは?」
天狗「いるよー。少ないけどね。だから天狗が子孫を残すのは大変なんだぞ。一人の女天狗を巡って壮絶な殺し合いまでするもん」
明良「ころ……物騒な言葉が飛び出てきたぞ」
天狗「当たり前だろ。女が少ないから、純血の天狗もそう多くないんだ。一妻多夫ってわけにもいかないしね。里や一族によっちゃそういう所もあるけど、そんなのむごいだろ。だから女天狗を娶れなかった奴は、人間に手を出すんだ。どうしたって全体の数が少ない種だから、人間の血が混じっても子孫を残す方が優先されるし」
嵐「お前は母親が天狗だったよな」
天狗「父親が人間でね。こういうのは稀だよ。女天狗は純血を保つために、同族を選ぶのが常識だから。前例がないこともないみたいだけど」
ライ「他にもいたのか?」
天狗「噂は聞くけど、見たことはない。何にしても同族からは嫌われるし、山にはいられなくなるから。だからその点、オレは恵まれてるんだよな。名前も場所も母親譲りのもんだけど、貰えてるんだから。まー、話は長くなったけど、とりあえず女の天狗はいるよ」
明良「そうか。お前に女っけがないのは、単にお前がガキとかじゃなくて、そういう事情があったんだな」
天狗「女っけがありすぎて毎日頭ん中が桃色みたいな奴よりは、遥かに上等な思考を持てると思うけどね」
明良「ピンクは綺麗だぞ。桜の色だって淡いピンク」
天狗「……時々、お前と話してると本当に疲れてくる……」
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