番外編 Previous×Prologue
「目を火傷したのは、本当に偶然なんだな?」
「馬鹿なこと聞くなあ、お前……」
サムナはギレイオから、彼のガラス玉の目の意味を聞いている。そして、そうなるに至った経緯も大まかにだが聞いていた。だから、ギレイオは無意識に無事な方の目を潰そうとしたのではないかと、危惧していたのだ。
ずっと胸にわだかまっていた不安が小さく首をもたげた時、それを払拭するようにギレイオはくぐもった声で続けた。
「目を潰したら、修理屋も出来ずに食いっぱぐれるぞ。ありゃ本当に向こうのポカ。俺の所為じゃないし、今はそんなことするつもりもねえ」
「本当だな」
ギレイオはサムナを見て頷いた。
「寝る。あとは頼んだ」
サムナは短く、わかった、とだけ答えた。
+++++
翌朝、太陽も昇りきらない時間帯から二人は動き出し、アクアポートに向けて出発した。さすがに夜明けの大地は、まだ涼しい。力強い陽光もなく、ギレイオはゴーグルだけをつけて助手席に座っていた。
「……お前さあ」
ドアに頬杖をついて呟くのを、サムナは聞き逃しはしなかった。
「何だ」
「昨日のあれ。俺が自殺するとでも思ってる?」
昨夜もこんな感じで話を蒸し返されたのを思い出した。いつものギレイオなら、その場その場で結論を出すような人間なのに、怪我をしたことでいくらか調子が狂っているのは事実のようだった。
「するとは思わない。だが、しないとも限らないと思っている」
「じゃあ見張ってろよ」
「……また面倒なことを」
「何となく思ったんだよな。俺死んでも、ここに遺せるのってお前ぐらいしかねえなって。そんなに物を残して生きたかないけどよ」
「それで?」
「とりあえずは、お前だけ遺していけるように生きといてやるって話。てことは、肝心なお前が俺を守ってくれなきゃ無理な話なんだよな」
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