Piece22



「俺に出来るのはこれくらいだけど、ヒュラムさんたちはもっと凄いよ」
「うちにはこんなの出来る奴いない」
 段々と数を減らしていく光の粒たちをギレイオは見つめて言った。
「お前、どうしてここまで出来て騎士団入らないの? おっさんたちの方が凄いなら余計入ればいいのに」
「集団行動が苦手で……」
「あー……わかる。苦手そうだもんな、特にお前。いじめられそう」
「え!? それはひどくない?」
「皆、そう思ってんじゃないの?」
 トピアーリウスが絶句してパストゥスらの方を見ると、誰もが笑いを噛み殺している。否定の声があがらないのが答えだった。
 泣きそうな顔のトピアーリウスは完全に放置し、パストゥスは二人の方へ歩み寄りながら言う。
「君は騎士団に入ってみたいと思ったことは?」
「俺が? どうして?」
 逆に尋ねられると思ってはいなかったらしく、パストゥスは首を傾げる。
「入れるかもしれんとは思わないのか」
「俺は機械工になるからいいよ」
 思いがけず強い口調でギレイオは言い放つ。
「騎士団になったら人も相手にしないといけないんでしょ。俺、人、苦手だし」
 人付き合いもだが、ギレイオは自身の魔法の事も含めて言った。今のところ、蒸発させられるのは生き物や自然物のみで、機械や金属はその対象外である。ギレイオが心から安心して触れるのは冷たい金属だった。
「父さんが機械工だから、弟子入りして俺もなる」
 父親の下で働くのは夢想としても現実としてもギレイオを楽しませた。それを将来のものとするのなら、努力は惜しまないつもりだった。
「……父親の後を追う息子か。ついぞ結婚など興味がなかったが、いいかもしれんな。どうだ、今からなってみるかタウザー」
「いいんですか!?」
「……いや、冗談だったんだがな」
 しょぼんと肩を落とすトピアーリウスを花を摘み終えた二人がからかい半分で、慰めに回る。トピアーリウスは役立たずなどではなく、彼らの潤滑剤のようだった。
 パストゥスは静かに問うた。
「なら、村を出てみたいと思ったことは?」
「……何で?」
「いやなに、ちょっとした疑問だ。我々のように故郷も遠い人間からすると、故郷と共に移動する生活というのは不思議な感覚でな」

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