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宿に着くとフェイトが驚き駆け寄ってくる。
他のメンバーも、クリフにおぶられ真っ赤な顔で眠るアルベルを不思議そうに眺めていた。
「アルベルどうしたんだい?」
「……寝た」
「そんなの見ればわかるよ。何で寝てるのかを聞いてるんじゃないか」
「酒だ、酒。弱いくせに意地はってキツい酒がぶ飲みしたんだよ」
「へぇ…意外だなぁ」
「ああ、帰ってきたんですね。遅いので心配していました」
声に気付き二階から降りてきたミラージュは、クリフにベッドの用意ができていることを告げると、水をもらいに厨房へ向かって行った。
「んじゃ、ちょっくらコイツ寝かせてくるわ。ついでに俺も寝るが…お前らも早く寝ろよ?」
「もう寝るの?ちょっと早すぎない?」
マリアが呼び止めるが、クリフは振り返らず階段を上っていってしまう。
「もう!なんなのよ」
「まぁまぁ、あいつも酔ってるんじゃない?ほら、もうすぐご飯みたいだよ」
怒るマリアをなだめながら、フェイトはいい匂いのする部屋へマリアを連れて行った。
「ふう…ったく、幸せそうな寝顔しやがって…」
部屋に着いたクリフは、アルベルを起こさないようにそっとベッドに寝かせる。
その表情は安心しきった子供の寝顔そのものだった。
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