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「…マジかよっ…!」

さっきまでそこにいたはずのアルベルがいない。
落書きは残っていたが、姿はどこにも無かった。

「今のアイツを一人にしたらまずいな…」

クリフはアルベルを探しに走り出す。
停戦中とはいえ、アーリグリフに恨みを持つ者は沢山いる。
アルベルが漆黒団長だとバレたら危険だということはわかりきっていた。

夜になれば危ない奴等が動き出す。いくらアルベルでも酔った状態ではろくに戦えないだろう。
特に子供に戻ってしまっている今は。

「面倒かけさせやがって…」

路地や建物の間をくまなく探していく。
日が落ちる前になんとしても捜し出さなければならない。
それほど大きくない町だが、焦っているクリフはとても広く感じていた。

「…………」
「ん?」

微かに人の声が聞こえた。
クリフが声のする方を目指し路地を進んでいくと、人の家の庭に出る。
どうやらアミーナの家の横に出たらしく、見覚えのある場所だった。

声の主を探すと、庭の隅の方に小さい人影が見える。
人影は小さくうずくまっているアルベルで、地面をじっと見つめていた。

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