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「いよいよ明日、ですね」
「そうだな。まさかこんな事になるとは思わなかったが…」
クリフはいつも頼む強い酒を一気に飲み干すと、追加で頼んだ同じ酒を話に入ってこないアルベルに渡す。
「なんだよ、全然飲んでねぇじゃねぇか。今飲んでおかねぇと次はいつ飲めるかわからねぇんだぞ」
「別に酒なんか無くても俺は構わねぇよ。強い奴と戦えればそれでいい」
そう言うと、渡された酒に口を付ける。
一口飲むがあまりの強さにむせ返り、グラスを置いてしまった。
「おい、何だこれは…」
「ん?俺がいつも飲んでるやつだぜ?あぁ、お前には強すぎたか。悪いな」
睨みながら文句を言うアルベルをなだめ、クリフは俺が飲む、とアルベルのグラスを取る。
一方酒に弱いとバカにされたと思ったアルベルは、クリフからグラスをひったくると、見てろと言わんばかりに飲んでいく。
「おいおい、大丈夫か?」
「これくらいどうってことねぇよ」
「でもこのお酒、かなり強いですよ?」
ミラージュは競うように飲み始めたアルベルを心配そうに見つめる。
「ま、いいんじゃねぇか?」
「ですが…」「本人が平気だって言うんだから好きにさせとけばいいさ」
「そうだ、俺はこれくらいの酒に潰れる程弱くねぇ」
心配するミラージュをよそに、アルベルは飲み続けた。
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