2
「なかなか強いわね」
「さすがは試練の遺跡、ですね。アルベルさん、大丈夫ですか?」
「あぁ」
ミラージュの問い掛けに素っ気なく答えると、アルベルは一人先へ進んで行く。
「ちょっと!あんまり先に行かないでよ。ここの敵弱くはないのよ?」
マリアの制止も聞かず、アルベルは歩を進める。
「なんなのよ、もう」
「急いでる…ようですね。とにかく後を追いましょう。いくら彼でも敵に囲まれたら危険です」
「そうね。急ぎましょ」
同じような道、同じような部屋。
迷ったと錯覚させる遺跡の深部へ近付けば近付く程敵は強くなる。
最初は一人で先に進んでいたアルベルも、さすがに自分だけでは倒せないと悟ったのか、単独で行動することはなくなっていた。
「だいぶ奥まできたんじゃない?」
「そうですね。もっと強いモンスターとかいそうですし…。気を引き締めて行きましょう」
「フン、どんな奴が来ようとぶっ飛ばすだけだ。さっさと行くぞ」
そう言うと、アルベルは転移装置へと歩き出す。
「ちょっと待って。この先はまだ行かないほうがいいと思うの」
「……何故だ?」
[ 13/48 ][*prev] [next#]