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激しい性交で失神したアルベルを腕に抱きながら、同じようにアルベルを抱くもう一人の自分に話しかける。
「じゃあ早めに頼むわ。フェイト達が戻ってくる前に戻りたいからな」
『了解。部屋の状態と服は前のままだからそっちの始末は自分でやれよ?』
「ちっ…仕方ねぇな。まぁ、面白い体験ができたからいいか。じゃあな」
『おう、元気でな』
別れの挨拶を済ませると、クリフとアルベルの体が光りはじめた。
同時に辺りも光りに包まれ、クリフは意識が遠のくのを感じた。
「……ん?ここは…宿屋…か?」
気がつくと、二人は元の宿屋の部屋にいた。隣りにはアルベルが眠っている。
「夢…か?」
自分が経験した事は夢だったのかと少し悩む。
ふと目の前の鏡に目をやると、鏡の中でもう一人のクリフが映っているのが見えた。
「なんだ、夢じゃなかったのか」
クリフのその言葉を聞くと、鏡の中のクリフはゆっくりと消えていった。
その後、しばらくアルベルは鏡を見るのを嫌がったそうで。
アルベルが普通に鏡を見れるようになるのは、ずっと先の事である―――。
終わり
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