sweet smell2

人々が眠り、草木も眠る真夜中―――。
工房の窓からは光が漏れていた。

「……よし、完成。アルベル喜ぶかな。ふふ……」

一人でひっそりと作業していたフェイトは、『完成品』を近くの棚にしまうと工房を後にした。




翌日、数日前から別行動をとる事が決まっていたクリフ、ネル、マリアは町を出発した。
クリフが出発したのを確認すると、フェイトはすぐにアルベルの部屋を訪ねる。

「ねぇアルベル、ちょっといいかな?」
「何の用だ?俺は今忙しいんだ」
「またまた〜。暇なんだろ?」
「…………」

仏頂面でベッドに座るアルベルは、フェイトを無視すると刀の手入れを始めた。

「あ、そう。無視するんだ。クリフがいなくて機嫌悪いのはわかるけど、仲間を無視するのはよくないよね」

無視されたフェイトはムッとした表情を浮かべながらも、アルベルの近くへ歩いて行く。

「あ〜あ。クリフから渡すように言われてたけど、アルベルがそんな態度じゃダメだね。お望み通り出てってあげるよ」
「えっ……クリフに…?」

クリフの名前に反応したアルベルは、部屋を出ようとするフェイトを呼び止めた。

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