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結局マリアのお説教は数時間にもなり、隠していた二人の関係は全員に知られてしまった。
ある者は驚き、ある者はあぁやっぱり…と様々な反応をみせた。
クリフは堂々としていたが、アルベルはその視線に耐えられず真っ赤になって俯いてしまう。

二人は仲間に関係がバレる事がないように注意を払っていた。
しかし、フェイトとマリアという最もバレて欲しくない二人に関係がバレていたのだ。
何もかもお見通しだというような顔のフェイトとマリアに、ある種の恐怖のようなものを感じながら二人は説教を聞き続ける。

「…………わかった?今度から気をつけてちょうだい。さ、準備もできたみたいだし行きましょうか」

言いたい事を全て言い切ったマリアは一人、歩き出す。
周りで様子を見ていた仲間達も、やっとか…という表情で後に続く。

「やれやれ…とんだ災難だな。ほら、行くぞ。待たせてまた怒鳴られるのはさすがに勘弁だ」
「あ、ああ……」

溜め息をついたクリフは、遅れないようにとすぐに歩き出した。
アルベルはマリアのしつこい説教に驚き固まっていたが、またマリアを怒らせたくないというのはクリフと同じだった為、後を追うように歩き出す。

クリフの少し後ろを歩いていたアルベルは、自分の手を見ながら小さく呟く。

「たまになら……こういうのもいいかもな…」
「ん?なんか言ったか?」
「筋肉バカに付き合うとろくな事がないと言ったんだ」
「あ、お前俺をバカにするなよ?これでも俺はちゃんと考えてだなぁ……」
「そうか、それはよかったな」
「おい、聞けって!」

呟きはクリフに聞こえていなかったが、恥ずかしさからつい悪く言ってしまう。
そんなアルベルの気持ちに気付いているのか、クリフは冗談混じりに返していた。

言い合いながら歩く二人はどこか楽しそうで、幸せそうだった。
いつか離れる日がくるまで…別れの日までこんな関係が続くようにと願って『今』を共に歩いて行く――――。



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