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「悪ぃな。ちょっといじめすぎたわ」
アルベルを追い抜く際、小声で伝えると、振り返らずフェイト達に合流した。
「…で?遅れたうえになんなの、その顔は」
「いや……ちょっとな」
待たされて不機嫌そうなマリアは、遅れてきた二人を見るなり文句を言い始めた。
「まぁまぁ、僕らも時間には遅れたんだしお互い様だろ?」
隣りにいたフェイトがなだめるが、マリアの機嫌はなかなかよくならない。
本気で怒らせると手が付けられなくなるので、クリフも頭を下げる。
「悪かった、このとおりだ。これからは気をつけるからよ」
「…仕方ないわね。今回だけよ?」
マリアはそう言うと、ソフィア達と共に時空ステーションへ歩いて行ってしまった。
ほっと安堵の息をつくクリフにフェイトが耳打ちする。
「あんな所でいちゃついてるからだよ。もう少し周りを気にした方がいいんじゃない?」
「なっ……お前見てたのか?!」
「さぁ?どうだろうね」
全てお見通しというような笑みを浮かべて、フェイトはマリア達を追い時空ステーションへ走って行った。
フェイトの姿が見えなくなると、クリフはフェイトに言われたことをアルベルに話した。
「おい、それって見られてたってことじゃねぇか。だから嫌だったんだよ、外で手を繋ぐなんて…」
「手ぇ繋いできたのはお前だろ?俺は強制なんてしてないからな」
「なっ……!」
さっきまでの甘い雰囲気とはうってかわって険悪な雰囲気が漂い始める。
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