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しばらく二人きりの時間を過ごし、クリフはちらりと待ち合わせ場所を確認する。
すると、約束の場所には既に二人以外の全員が集まっていた。
「まずいな…おい、そろそろ行かねぇとヤバいぞ」
そう言うと、クリフはアルベルの手を引き外へ出ようとする。
「おい!このまま行くのか?!」
「ん?何か問題でもあるか?」
「嫌だって言っただろ!」
手を繋いだまま外に出ようとするクリフにアルベルは拒否の声をあげる。
元々アルベルは外で手を繋ぐことは嫌がっていたので、当然といえば当然だが。
しかしクリフも諦めず、力ずくで外に出ようとする。
「別にいいじゃねぇか。ほら、諦めろって」
力ではクリフに敵わない為、アルベルの体はズルズルと引かれていく。
クリフは既に外に出ていて、繋いだ手ももうすぐ外に出てしまいそうになったその時。
アルベルの鉄拳がクリフの顔にヒットした。
「ぐっ…!」
「はぁっ…はぁっ……お、お前が悪いんだからな!」
どうしても手を繋いだまま外に出るのは嫌だったらしく、つい手を出してしまった。
鉄拳をくらったクリフは、不意打ちだったこともあり少し先まで吹っ飛んでいた。
「痛ってぇな…何も殴ることはないだろ、おい」
「知るか!」
頬をさすりながら立ち上がるクリフを放って、アルベルはさっさとフェイト達のもとへ歩いて行ってしまった。
クリフも強引にしすぎたかと反省しながら、後を追って歩き始める。
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