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二人は狭い建物の裏に座り込むと、繋いだ手を強く握りあう。

「お前の手は大きいな…」
「そうか?お前が小さいだけだと思うぞ?」
「いや、大きい。…父を思い出すな。優しくて大きかった…」

アルベルはクリフの大きな手に父親を重ねていた。
自分のせいで死んでしまった父。
悔やんでも悔やみきれない出来事だった。

「俺はお前の親父さんじゃねぇよ」
「わかってる。けど、もう少しこうさせてくれ」

アルベルはクリフの肩に寄り掛かると、繋いだ手をじっと見つめる。
しばらくそのまま肩を預けていたクリフだったが、すっとアルベルの前に移動すると、空いている手でアルベルの顎を掴み口付けた。

「んっ…」

アルベルは抵抗せずキスを受け入れる。
始めは触れるだけだったものが、だんだん深いキスに変わっていく。

「…っ、……はぁっ、どうした?いきなり…」

長いキスから解放されたアルベルはクリフに問う。
クリフは少し赤くなりながら答えた。

「お前が……可愛かった…から」
「…そうか」
「おっ、珍しいな。怒らないのか?」

いつもなら怒って怒鳴るアルベルが珍しくおとなしい。
アルベルは返事をするように手を強く握る。
クリフもそれ以上は言わずに手を握っていた。



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