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闘技場に着いたクリフは周りを見渡す。
珍しく客はまばらで空席が目立っている。
通路を歩きながらアルベルを探していると、丁度向い側の最後列にアルベルらしき人物を見つけた。
急いでその場所に向かう。


「確かこの辺りだったよな…」

クリフはアルベルらしき人物を見た場所まで辿り着くと、辺りを見回した。
すると、クリフのいる場所から数メートル先にアルベルが座っているのに気付く。
アルベルはクリフに気付いていないようだった。
クリフはゆっくりアルベルに近付き、隣りに座る。

「こんなとこにいやがったのかよ。随分探したぞ」
「…っ!」

隣りに座られてやっとクリフに気付いたアルベルは、顔を真っ赤にして目をそらす。

「そんなに俺と手を繋ぐのが嫌かねぇ。別に周りの目なんか気にする必要あるか?」
「………」
「…わかった。もう言わねぇから。嫌なら仕方ねぇもんな。ほら、戻るぞ」

答えないアルベルに諦めたクリフは、そろそろ約束の時間だ、とフェイト達との待ち合わせ場所に戻るようアルベルを促す。

二人は無言のまま闘技場を出た。
喧嘩したわけではないが、なんとなく気まずい雰囲気が二人を包む。



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