2
闘技場に着いたクリフは周りを見渡す。
珍しく客はまばらで空席が目立っている。
通路を歩きながらアルベルを探していると、丁度向い側の最後列にアルベルらしき人物を見つけた。
急いでその場所に向かう。
「確かこの辺りだったよな…」
クリフはアルベルらしき人物を見た場所まで辿り着くと、辺りを見回した。
すると、クリフのいる場所から数メートル先にアルベルが座っているのに気付く。
アルベルはクリフに気付いていないようだった。
クリフはゆっくりアルベルに近付き、隣りに座る。
「こんなとこにいやがったのかよ。随分探したぞ」
「…っ!」
隣りに座られてやっとクリフに気付いたアルベルは、顔を真っ赤にして目をそらす。
「そんなに俺と手を繋ぐのが嫌かねぇ。別に周りの目なんか気にする必要あるか?」
「………」
「…わかった。もう言わねぇから。嫌なら仕方ねぇもんな。ほら、戻るぞ」
答えないアルベルに諦めたクリフは、そろそろ約束の時間だ、とフェイト達との待ち合わせ場所に戻るようアルベルを促す。
二人は無言のまま闘技場を出た。
喧嘩したわけではないが、なんとなく気まずい雰囲気が二人を包む。
[ 39/45 ][*prev] [next#]