sweet chocolate
「はい、フェイト」
「あぁ、ありがとう。今年はなんだい?」
「秘密。開けてからのお楽しみだよ」
ある日の宿での光景。
ソフィアが綺麗に包装された何かをフェイトに渡していた。
その様子を少し離れた場所から見ていたアルベルは、近くにいたミラージュに尋ねる。
普段は気にならないが、今日はやけに気になった。…
「あれは何を渡してるんだ?」
「あぁ、そういえば今日はバレンタインですね」
「バレンタイン…?」
「あの二人の故郷のイベントですね。女性が好意を寄せる相手にチョコレートを渡すんですよ」
「男からは渡さないのか?」
アルベルの疑問に驚きながらも、ミラージュは丁寧に答えていく。
「あまりないですね。女性同士で交換はあるみたいですが…。でも男性同士でも悪くはないと思いますよ」
「…妙なイベントだな」
アルベルはミラージュに軽く礼を言うと、自分にあてがわれた部屋へと向かって行った。
階段を上りながら、自分はクリフにチョコを渡すべきか考える。
男が渡すのは一般的でないにしろ、恐らくクリフは期待しているはず。
そんな期待に応えたい。
でも少し恥ずかしい。
そんな事を考えているうちに、部屋に着いてしまった。
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