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クリフはアルベルを抱き締める腕に力を込める。
アルベルはというと、顔を赤らめて俯いていた。

「……も……ない」
「ん?」
「俺も…悪くないと思ってる」

普段自分の気持ちを言葉にしないアルベルからの意外な言葉に、クリフは驚き目を丸くする。
アルベルは相変わらず俯いたままで、クリフとは視線を合わせずにいた。

「アルベル…」
「…ん?…あっ……」

クリフはアルベルの頬に手を添え、自分の方を向かせる。
視線がぶつかり、自然とお互いの顔が近付いていく。
唇と唇が触れた瞬間、遠くで鐘の音がした。

「新年だな、おめでとう。今年もよろしく頼むぜ」
「ああ、頼まれてやるよ」

触れるだけのキスの後、クリフに体を預け星空を眺めながらアルベルは言う。

「今年は俺様がいい年にしてやるよ」
「そうか、期待してるぜ?」
「まかせておけ。…少し冷えたな。もう一度飲み直さないか?」
「おっ、そりゃいいな」

二人は立ち上がると、まだパーティーが続いている小屋へと歩いて行く。





小屋に帰ると予想した通り、パーティーはまだ続いていて散らかっていた。
二人は散乱するゴミを避けながら、奥のテーブルに酒を広げる。

「新年最初の酒だ。飲むぜ!」
「潰れるなよ…」

グラスを傾け乾杯すると、二人は中の酒を一気に飲み干した。



今年はどんな一年になるのだろうか。
不安と期待に満ちた新しい一年が始まる―――。


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