最後と最初の日

夜中の静かな河原に二つの影が並んでいた。
二つの影は無言で川を見つめている。

「今年ももう終わりだな…」

影の一つ、クリフがぼそりと言う。
もう一つの影、アルベルは無言のまま川を見つめていた。

二人は年越しパーティーのどんちゃん騒ぎから、こっそり抜け出してきたのだ。
新年の最初の瞬間は二人でいたいという、クリフの希望だった。

冬の河原は風邪が冷たく、アルベルはぶるっと震える。

「寒いか?そうだな…これなら寒くないだろ?」

クリフはそう言うと、アルベルを背後から抱き締めるように座り直した。
大柄なクリフの腕の中に、華奢なアルベルの体はすっぽりおおわれてしまう。

「…暖かい……」
「そうか。そりゃよかった」

会話もすぐに途切れてしまい、また静寂が訪れる。
聞こえるのはたまに吹く風の音と、川のせせらぎだけ。
再び黙りこんだ二人はしばらく川を眺めていた。




「今年は色々あったなぁ。厄介な事ばっかりだったが」

静寂を破りクリフが話しはじめる。

「俺もだ。厄介な奴に目を付けられて、一緒に旅をしている」
「そりゃ大変だな。でも俺も我が儘な奴に手を焼いてる。……でもそれがいいんだよな」

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