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クリフのバカにしたような言い方に、疾風は怒りをあらわにし、襲いかかる。

が、当然ながらクリフの相手ではなかった。
あっという間に疾風達を片付け、アルベルの元へ駆け寄る。

「大丈夫か?」
「うん…。おじさん、誰?」
「おじっ……お兄さんはクリフって名前だ」
「くり…?」
「クリフだ。あ〜、親父さんの友達なんだが…」
「父様のお友達?」
「ああ。ほら、屋敷まで送ってやるよ」
「ありがと…栗のお兄ちゃん」

クリフはアルベルの手を取ると、ウォルターの屋敷へ向かって歩き始めた。
アルベルはクリフに気を許したのか、自分から色々な事を話始める。

「僕ね、おっきくなったら父様みたいに疾風の団長になりたいんだ」
「じゃあ沢山鍛練しないとな」
「うん!頑張る!」
「よし、それじゃあアルベルが団長になれたかどうか、大人になったら確かめに来てやるよ。その時に兄ちゃんのお嫁さんにもなってもらいてぇな」
「お嫁さん?でも僕男の子だよ?」
「構わねぇよ。お前だからいいんだ。ほら、着いたぞ」
「お兄ちゃん、帰っちゃうの?」

アルベルはクリフの手を強く握り、帰っちゃ嫌と駄々をこねる。

「悪いな、俺にも仕事があるんだ。大丈夫、ちゃんと会いに来るさ」

安心させるように頭を撫でると、アルベルに背を向け歩き出した。
アルベルは小さな手を大きく振りながら、クリフを見送っていた。

「あらあら、アルベル。戻ったのなら中に入りなさい」

帰りが遅いのを心配し、様子を見に来た母親が屋敷に戻るように促す。



「なんだか嬉しそうね。良い事でもあったのかしら?」

帰宅してからずっと機嫌のいいアルベルを不思議に思い、母親が尋ねてみる。

「あのね、栗のお兄ちゃんとお友達になったの」
「栗の…お兄ちゃん?」
「うん!栗のお兄ちゃんがね、僕をお嫁さんにしてくれるって言ってたの」
「まぁ!あなたは男の子でしょう?どうしてお嫁さんなのかしら」
「わかんない。でも僕、栗のお兄ちゃん好きだよ。格好いいもん」
「そうなの?じゃあ栗さんが早く来てくれるように、ちゃんと良い子にしてましょうね」
「はーい!おやすみなさい、母様」

パタパタと足音を響かせて用意された寝室へ向かうアルベルを見送りながら、母親は大きな溜息をつく。
「栗と結婚するなんて…子供って面白い事を考えるわね」

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