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「城に来たはいいが、これからどうすっかなぁ。城に入るわけにもいかねぇし…」

城の前に着いたクリフは、この後の事に悩む。勢いで来てしまったが、自分の事を知らないアルベルに会ってどうするのか。
アルベルのことだから、きっと『貴様何者だ』とか言って喧嘩を吹っ掛けてきそうな気もした。


クリフがそんな事に悩んでいたその時、城から誰かが出てきたのに気付いた。

「また父様お仕事?つまんない…」
「仕方ないでしょう?我が儘言わないの」
「だって…」

母親に叱られ俯く少年には、どこか見覚えがあった。
よくよく見れば、母親にも見覚えがある。
見覚えある、というよりは似ていると言った方がいいかもしれない。

「まさか、な…」

クリフは、アーリグリフをたつその親子の後を追いかけることにした。





護衛に守られた親子はカルサアにたどり着いた。
日はすでに傾き、辺りは薄暗くなりはじめていた。

「アルベル、今日はウォルター様のお屋敷でお世話になるのよ。しっかり挨拶なさい」
「はい、母様…。でもその前に友達に会ってきていい?」
「仕方ないわね。もうすぐ暗くなるから早く行ってきなさい」
「ありがとう、母様!」

そう言うと、少年は友人の家に走って行った。

「やっぱりアルベルだったか…。まさか子供だとはなぁ。戻りすぎちまったな」

親子のやりとりを遠くで見ていたクリフはそう言うと、アルベルの後を追った。






「それにしてもアイツって母親似なんだな。顔同じじゃねぇか」

ブツブツ言いながらアルベルを捜すが、なかなか見つからない。
町の中もほとんど捜し、残るは炭坑入口付近のみだった。



「ほら、おとなしくしろ!」
「やだ…!放してよ!」



「ん?向こうが騒がしいな…」

クリフは声のする方へ歩いて行く。
たどり着いた先には、疾風に囲まれているアルベルがいた。

「おい、お前等何してんだ」
「なんだ貴様は?民には関係ない。さっさと失せろ!」

突然現れたクリフに剣を向け、疾風は敵意をあらわにする。

「あ〜…、いい大人が寄ってたかってガキ苛めか?恥ずかしいねぇ」
「貴様…どうやら死にたいようだな」
「やれるもんならやってみろってんだ。どうせ目的はコイツの父親だろ?誘拐して脅迫でもする気だったのか?ん?」
「黙れ!!」

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